本文へスキップ
あおば行政法務事務所
法改正

経営事項審査(経審)が改正|社会保険加点を廃止、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」加点を新設(令和8年7月1日以降の申請から適用)

令和8年7月1日以降の経審申請から、社会保険未加入減点(W1-1〜W1-3)が審査対象から削除され、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言有無が新たに+5点の加点項目に。CCUS就業履歴蓄積措置の配点見直しや建設機械の対象拡大もあわせて、横浜・青葉の行政書士が解説します。

公開:

令和8年(2026年)2月6日、国土交通省告示第262号により、経営事項審査(経審)の「その他審査項目(社会性等・W点)」が改正されました。令和8年7月1日以降に申請する経審から、この新基準がすでに適用されています。 「もうすぐ変わる」ではなく「すでに変わっている」制度です。建設業許可業者・経審受審業者の経営者向けに、改正の中身と次回申請前に確認すべきポイントを整理します。

この改正はすでに施行されています。 令和8年7月1日以降の申請で適用され、令和8年6月30日以前の申請は改正前の基準で審査されています。次回の審査基準日・申請予定日が7月1日以降にかかる場合は、新基準を前提に準備する必要があります。

結論

  • 令和8年2月6日公布の国土交通省告示第262号により、経審のW点(その他審査項目・社会性等)が改正され、令和8年7月1日以降の申請から適用されています
  • 社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)の加入状況に関する減点項目(W1-1〜W1-3、未加入で各-40点)が審査対象から削除されました。ただし、社会保険加入自体が建設業許可の要件であることに変わりはありません
  • 新たに「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」(愛称:職人いきいき宣言)の宣言の有無が加点項目として追加され、+5点の対象になりました
  • あわせて、就業履歴を蓄積するための措置(CCUS関連)の配点が、全建設工事15点→10点、全公共工事10点→5点に縮小されました
  • 建設機械の保有状況(W7)の加点対象に、「不整地運搬車」「アスファルト・フィニッシャ」が新たに追加されました
  • 改正に伴い、その他審査項目(社会性等)と総合評定値(P点)の最低点も変更されています

改正前後の比較(W点の変更点)

国土交通省が公表した資料に基づく、改正前後の比較です。

評価項目 改正前(〜令和8年6月30日申請) 改正後(令和8年7月1日以降の申請)
W1-1:雇用保険の加入状況(未加入時) -40点 審査項目から削除
W1-2:健康保険の加入状況(未加入時) -40点 審査項目から削除
W1-3:厚生年金保険の加入状況(未加入時) -40点 審査項目から削除
建退共・退職一時金/企業年金・法定外労災・若年者育成・CPD・WLB 変更なし 変更なし
就業履歴を蓄積するための措置(民間工事を含む全ての建設工事) 15点 10点
就業履歴を蓄積するための措置(全ての公共工事) 10点 5点
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無 項目なし 新設・5点
W7:建設機械の保有状況(対象機械) 既存9機種 既存9機種+不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャ(11機種)
W1(担い手の育成及び確保に関する取組の状況)の最高点/最低点 77点/-120点 77点/0点
その他審査項目(社会性等・W)合計の最高点/最低点 237点/-210点 237点/-90点

各変更点の解説

1. 社会保険加入に関する評価項目(W1-1〜W1-3)の削除

令和元年度の建設業法等の一部改正により、令和2年10月1日以降、建設業許可・更新の要件に社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)の加入が追加されました。許可の更新期間は5年であるため、令和7年10月1日以降に許可を保有する業者は、許可要件として社会保険加入をすでに満たしていることになります。国土交通省はこれを踏まえ「経審の段階で改めて確認する必要性が乏しい」として、審査対象項目から削除し、申請事務の効率化を図りました。

注意点:これは「加点が増える」話ではなく、「未加入時の減点(最大-120点)がなくなる」話です。これまで未加入で大きく減点されていた事業者は、W点が押し上げられる形になります。一方で社会保険加入は建設業許可の要件として存続しており、未加入のままでは許可自体を維持できない点は変わりません。

2. 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」(職人いきいき宣言)加点の新設

第三次・担い手3法の全面施行を受け、労務費確保等のための取組とCCUS(建設キャリアアップシステム)の活用を積極的に推進する企業を評価するため、新たに設けられた加点項目です。

  • 加点措置の要件:審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書が提出されていること(+5点)
  • 宣言できる立場:元請事業者・下請事業者・発注者のいずれかを選択(重複しての宣言は不可)。経審での加点は、元請事業者・下請事業者の立場での宣言が対象です
  • 申請方法:専用ポータルサイト(jishusengen.mlit.go.jp)から代表者名義で申請します。登録後は企業名・代表者名を含む宣言文がポータルサイト上で公開されます
  • 有効期間:申請日の翌月を起算日として2年経過後の最初の12月末まで
  • 必須項目:立場(元請/下請/発注者)に応じて、「労務費確保・賃金支払い等のための取組」「CCUSの活用」「宣言企業との取引優先」の各分野で、会社として賛同できる取組を選択・宣言する必要があります
  • 適格要件:役員に暴力団員等がいないこと、建設業法に基づく指示処分以上の行政処分から1年以上経過していること等の要件があります

宣言した取組を取組開始日以降に行っていない場合は、虚偽申請として建設業法に違反するおそれがあるとされている点にも留意が必要です。

3. 就業履歴蓄積措置(CCUS関連)の配点見直し

CCUSを活用した就業履歴の蓄積に関する加点(W1-10)は、改正前は「民間工事を含む全ての建設工事」で15点、「全ての公共工事」で10点でしたが、改正後はそれぞれ10点・5点に縮小されました。自主宣言制度の新設(+5点)とあわせて設計されており、CCUS関連の評価の入口が自主宣言制度に一本化される方向性がうかがえます。

4. 加点対象建設機械の追加(W7)

令和6年能登半島地震の応急復旧工事における活用実績が確認されたことを踏まえ、地域防災の観点から、加点対象となる建設機械が拡大されました。

  • 追加された機械:「不整地運搬車」(土砂の運搬等)、「アスファルト・フィニッシャ」(道路舗装)
  • 保有台数に応じた加点評価の方法自体(最大15点、14台以上保有で満点)に変更はありません
  • 不整地運搬車は労働安全衛生法上の特定自主検査、アスファルト・フィニッシャは道路運送車両法上の自動車検査(国土交通大臣の行う検査)が、加点の前提となります

自社への影響の確認ポイント(次回経審申請前のチェックリスト)

  • 次回の審査基準日・申請予定日が、令和8年7月1日以降にかかっているか
  • 社会保険加入自体(許可要件)の状況をあらためて確認したか
  • 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」への参加を検討する場合、審査基準日までに宣言・誓約書提出を間に合わせられるか。必須項目に会社として賛同できるかを社内で確認したか
  • CCUSの就業履歴蓄積の運用状況(縮小後の10点/5点)を踏まえ、自主宣言制度とあわせた加点設計に見直す余地があるか
  • 保有・長期リース中の建設機械に不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャが含まれていないか。含まれる場合、検査記録等の証憑を整理できているか
  • W点・P点の最低点が変更されている点を踏まえ、前回申請時の点数と単純比較していないか

あおば事務所のご支援

行政書士あおば行政法務事務所では、建設業許可・経審のお客様に対し、以下のご支援を行っています。

  • 改正内容を踏まえたW点の現状診断:現行の加点・減点状況を棚卸しし、改正後の基準での見込みを整理
  • 自主宣言制度の申請サポート:必須項目の選択・宣言書と誓約書の準備・申請手続きのご案内
  • CCUS運用の見直しご相談:就業履歴蓄積の運用状況の確認と、自主宣言制度とあわせた加点設計
  • 決算変更届〜経審申請〜総合評定値通知までの年次伴走:改正施行日をまたぐ案件は、現行ルールと改正後ルールの両方を踏まえてご案内

P点への影響は事業者ごとの現状によって異なります。当事務所では具体的な点数アップをお約束するものではなく、加点機会の洗い出しと対策のご提案という形でご支援します。次回の経審申請への影響や自主宣言制度への参加可否など、申請を待たずにお気軽にご相談ください。

関連ページ

出典


※このページは改正内容の概要をお伝えするものであり、個別の事案の点数を保証するものではありません。具体的なご相談は、お問い合わせフォームまたはお電話(045-979-0120)にてお申し付けください。

※2026年8月時点の情報を掲載しています。法令・制度は今後も改正されることがあります。最新情報は個別にご確認ください。

行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏

関連するご相談はお気軽に

制度改正や実務運用について、自社への影響を個別に整理したい場合は、初回無料相談をご利用ください。

この記事を改善する(スタッフ用)

事実誤認・誤字脱字等、お気づきの点があればこちらから報告できます