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あおば行政法務事務所

建設業許可・経審・入札参加 / keishin

経審のW点—社会性等(労働福祉・研究開発・CCUS・防災協定等)

経営事項審査のW点(社会性等)の構造を、労働福祉・防災協定・法令遵守・建設機械・ISO・CCUSの観点から、横浜の行政書士が費用対効果とあわせて整理します。

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W点は「社会性等」と呼ばれる加点項目の集合体です。配点はP点の15%ですが、減点項目を塞ぐだけでも数十点単位のP点改善が見込めるため、経審対策の入口として最優先で整備する領域です。このページでは、W1〜W8の内訳と、費用対効果に基づく取り組みの順序を整理します。

結論

  • W点の算式は W = (W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8) × 10 × 175 ÷ 200(P点寄与15%)。
  • 最優先は社会保険3本の減点解消(現行ルール下で各マイナス40点)、次に建退共・法定外労災・防災協定の加点取得。
  • 令和8年7月1日改正で、社会保険未加入減点は削除、CCUS加点は縮小、建機対象は拡大。
  • W対策の鉄則は「減点をゼロにするのが先、加点は後」です。

背景と制度の目的

W点は、法令遵守・労働環境・地域貢献・環境配慮・品質管理といった社会的責任の面から建設業者を評価するための項目群です。公共工事の担い手としての適格性を多面的に確認する設計になっています。

W1〜W8にはそれぞれ独立したテーマが割り当てられており、会社が施策を打ちやすい整理になっています。一方で、証憑の有効期間と審査基準日の整合がとりわけ重要で、1か月のズレで加点が取れないといった不備が目立ちます。

W1〜W8 の内訳

区分 項目 内容
W1 労働福祉の状況 社会保険、建退共、退職一時金、法定外労災、CCUS等
W2 建設業の営業年数 営業年数により加点
W3 防災活動への貢献 防災協定
W4 法令遵守の状況 建設業法違反等による減点
W5 建設業の経理の状況 経理の電子化、監査の受審等
W6 研究開発の状況 研究開発費(小規模企業には効きにくい)
W7 建設機械の保有状況 対象機械の保有または長期リース
W8 国際標準化機構規格の登録状況 ISO9001・ISO14001・エコアクション21

W1:労働福祉の状況(現行・令和8年6月30日まで)

項目 サブ点
雇用保険加入 未加入で−40
健康保険加入 未加入で−40
厚生年金加入 未加入で−40
建退共加入 +15
退職一時金制度・企業年金制度 +15
法定外労災 +15
若年者確保・育成 最大+10
知識・技能向上(CPD) 最大+10
ワーク・ライフ・バランス(WLB) 最大+10
就業履歴蓄積措置(CCUS) 全建設工事+15/全公共工事+10

令和8年7月1日施行の改正

  • 社会保険未加入の減点項目は削除されます。
  • CCUS加点は縮小され、全建設工事+10/全公共工事+5になります。
  • 新設:建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度で+5点。

社会保険の減点が削除されても、建設業許可・CCUS運用・労務管理の前提として社会保険加入は必須です。未加入の放置は現実的ではありません。

CCUS加点の要件

W1のCCUS加点では、以下の4要件を満たす必要があります。

  1. 審査基準日前1年以内に直接請け負った審査対象工事について、
  2. CCUS上での現場・契約情報登録、
  3. 就業履歴を直接入力によらない方法(カードリーダー・API連携等)で蓄積できる体制整備、
  4. 経審申請時の誓約書提出。

対象外工事は、日本国外工事、軽微工事、災害応急工事等です。小規模会社(資本金500万円未満、技能者10人、管理者ID1つ、年間5,000人日)の費用目安は、事業者登録6,000円、技能者詳細型登録49,000円、管理者ID年間利用料11,400円、現場利用料50,000円で合計約11万6千円です。これに能力評価手数料・カードリーダー費用が加わります。

よくある失敗は、簡略型登録で止まって能力評価・レベル判定に進まない、対象工事の全登録ができていない、直接入力のみで運用、下請・施工体制台帳の作業員名簿と氏名表記が不一致、誓約書・県独自書類の出し漏れ、などです。

W7:建設機械の保有状況

加点テーブル

台数 点数
1台 5点
2台 6点
3台 7点
6台 10点
14台以上 15点(上限)

対象機械(現行)

ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダー、移動式クレーン、ダンプ(積載量3トン以上等)、締固め用機械、解体用機械、高所作業車。

令和8年7月1日施行の改正で追加

  • 不整地運搬車
  • アスファルト・フィニッシャー

要件

  • 所有または審査基準日から1年7か月以上のリース契約が必要です。
  • 短期レンタルは対象外です。
  • 証憑は、所有・リース確認書類、特定自主検査記録表、車検証、移動式クレーン検査証、正常稼働状態を証する資料です。

購入・銀行借入による購入・長期リース(1年7か月超)・短期レンタルという4つの調達方式では、加点目的なら長期リースが資金効率で優位な選択肢となります。

W8:ISO認証

認証 点数
ISO9001 5点
ISO14001 5点
ISO9001 + ISO14001 10点
ISO9001 + エコアクション21 8点
エコアクション21単独 3点

認証プロセスは、認証機関への見積依頼、審査登録申込、Stage1審査、Stage2審査、登録決定、登録証発行という順で進みます。有効期間は3年で、年1回のサーベイランス審査と3年ごとの更新審査が必要です。

コンサル費用は企業規模により大きく異なり、20〜30名未満規模で年間60〜84万円、審査費用約41万円というレンジが目安です。登録証の有効日が審査基準日に間に合う工程管理が実務の命になります。

W3:防災協定

+20点(サブ点)が付きます。国・地方公共団体・業界団体と災害時応急復旧協力の協定を締結することが加点対象で、自発的登録制度や請負契約型覚書は対象外です。建設業協会を通じた一括加入が現実的なルートです。

その他の主要加点項目

項目 サブ点 備考
建退共加入・履行 +15 決算期間に審査基準日を含むこと
退職一時金・企業年金 +15 就業規則・制度書類が必要
法定外労災 +15 補償対象・通勤災害・補償範囲の3要件必須
若年者確保 最大+10 審査基準日前1年以内の新規雇用等
CPD単位取得 最大+10 審査基準日前1年間の取得
WLB 最大+10 次世代育成支援認定等

費用対効果ランキング(中小建設業者向け)

優先度 項目 理由
社会保険3本の減点解消 1項目−40サブ点 → Pで約−52.5点、最優先で塞ぐ
建退共・法定外労災 中負担で各+15、合わせて約+39点
防災協定 +20、業界団体ルートで実務負担が軽い
建機1〜3台保有/長期リース +5〜7、機動力担保にも寄与
ISO9001 +5、品質体系整備
ISO9001+14001 +10、ただしコスト高
CCUS(現行15/10点) 改正後は10/5に縮小、導入コスト中

よくある不備

  1. 保険加入の証明月が審査基準日の属する年度・月とズレる
  2. 建退共の期間に審査基準日が入っていない
  3. 法定外労災の3要件(補償対象・通勤災害・補償範囲)の未充足
  4. 機械が短期レンタル(長期リース要件の未達)
  5. 機械の検査記録表が欠落
  6. 防災協定が自発的登録だけで対象外
  7. ISO認証範囲が建設業外(グループ会社の別業務で取得)
  8. CPD取得時期が審査基準日前1年を外れている
  9. CCUSが直接入力のみで運用されている
  10. 若年者確保の対象範囲不足

他士業との業務境界

社会保険適用・資格取得届、就業規則は社会保険労務士の領域です。建退共加入手続きは建退共、法定外労災は保険代理店、ISO認証は認証機関・ISOコンサル、エコアクション21は地域事務局と、それぞれ専門の窓口があります。経審観点での整合確認と書類整備伴走を行政書士が担当します。

あおば事務所の対応

初回では、W1〜W8の取得状況を棚卸しし、減点箇所の即時解消低コスト加点中コスト加点の順で打ち手を整理します。建退共の履行証明、法定外労災の3要件、機械のリース契約書、ISO認証範囲など、証憑の細部まで点検します。

令和8年7月1日施行の改正前後では、「現行ルールで取り切る項目」と「改正後ルールに切り替える項目」の二層管理が望ましい運用です。申請日が改正をまたぐ案件は、両方のシナリオでP点を比較してから意思決定します。

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