任意後見契約(移行型) / 手続き
任意後見契約の公証役場での作成手続きと費用—必要書類・手数料・出張・ウェブ会議
任意後見契約(移行型)を公正証書で作る流れを、事前の打ち合わせから作成当日、登記までの順で説明します。2025年10月1日改定後の公証人手数料(任意後見契約1万3,000円・登記嘱託1,600円・印紙2,600円など)、必要書類、出張やウェブ会議での作成についても一次資料に基づいて整理しました。
任意後見契約は、公正証書で作らなければなりません(任意後見契約に関する法律 第3条)。当事務所では、原案の作成から公証役場との打ち合わせ、作成当日の立会いまでを担当します。ご家族が公証役場と何度もやり取りする必要はありません。このページでは、実際の流れと費用を整理します。
結論
- ご相談から公正証書の作成まで、通常1〜2か月ほどかかります。
- 公証役場に支払う手数料は、移行型・受任者1人の場合、任意後見契約13,000円+委任契約13,000円(目安)+登記嘱託手数料1,600円+登記用印紙2,600円+正本・謄本代が基本です。
- 公証役場に行けない場合は、公証人がご自宅・病院・施設に出張します。公証人が相当と認めれば、ウェブ会議での作成もできます。
- 作成後、任意後見契約は公証人の嘱託で東京法務局に登記されます。
作成までの流れ
| 段階 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 1. 原案の作成 | 委任契約と任意後見契約の条項、2種類の代理権目録を作る | 当事務所 |
| 2. 公証役場の予約・原案の送付 | 公証役場に連絡し、原案と当事者の情報を送る | 当事務所 |
| 3. 公証人との文言調整 | 公証人から修正の提案があれば、ご家族に確認して反映する | 当事務所 ⇄ 公証人 |
| 4. 書類の準備 | 印鑑登録証明書・戸籍謄本・住民票など | ご本人・受任者(取得代行も可) |
| 5. 作成当日 | 公証人がご本人と面談して意思を確認し、内容を確認のうえ署名する | ご本人・受任者・公証人(当事務所が立会い) |
| 6. 登記 | 公証人が東京法務局に登記を嘱託する(公証人法 第51条) | 公証人 |
作成当日、公証人はご本人と直接話をして、契約の内容を理解しているか、ご自分の意思で受任者を選んでいるかを確かめます。受任者やご家族が代わりに答えるのではなく、ご本人の言葉で話していただくことが大切です。
必要書類
| 誰の書類か | 書類 | 備考 |
|---|---|---|
| ご本人 | 印鑑登録証明書と実印 | 発行から3か月以内。顔写真付きの本人確認書類と認印で足りる場合もある |
| ご本人 | 戸籍謄本(または戸籍抄本) | 発行から3か月以内 |
| ご本人 | 住民票 | 発行から3か月以内 |
| 受任者 | 印鑑登録証明書と実印 | 同上 |
| 受任者 | 住民票 | 発行から3か月以内 |
| 受任者が法人 | 登記事項証明書・代表者の印鑑証明書 | 発行から3か月以内 |
求められる書類は公証役場によって多少異なります。当事務所から、打ち合わせの結果に合わせてご案内します。
公証役場に支払う費用(2025年10月1日改定後)
| 項目 | 金額 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 任意後見契約 | 1契約13,000円 | 目的の価額を算定できないため500万円とみなし、別表により13,000円(公証人手数料令 第16条・別表) |
| 財産管理等の委任契約(移行型) | 13,000円(目安) | 委任契約について別に手数料がかかる。算定できない場合は同様に500万円とみなす。報酬の定め方で変わることがある |
| 枚数加算 | 3枚を超える1枚ごとに300円 | 同令 第25条 |
| 登記嘱託手数料 | 1,600円 | 同令 第39条の2 |
| 登記用の収入印紙 | 2,600円 | 登記手数料令 |
| 正本・謄本 | 紙は1枚300円、電子データは1通2,500円 | 同令 第40条・第40条の2 |
| 出張の場合 | 病床執務加算(手数料の5割。任意後見契約1契約につき6,500円)+日当2万円(4時間以内は1万円)+交通費実費 | 同令 第32条・第43条 |
受任者を2人にして別々の契約にする場合は、契約の数だけ手数料がかかります。公正証書遺言や死後事務委任契約を同じ日に作る場合は、それぞれの手数料が加わります。正確な金額は、原案が固まった段階で公証役場に確認してお知らせします。
2025年10月からの変更点:電子の公正証書とウェブ会議
2025年10月1日に改正公証人法が施行され、公正証書は原則として電子データ(電磁的記録)で作成されるようになりました(公証人法 第36条)。当事者は紙への押印の代わりに電子サインで承認し、公証人は電子署名をします(同法 第40条)。正本・謄本は、電子データで受け取ることも、これまでどおり紙で受け取ることもできます。
また、嘱託人の申出があり、公証人が相当と認めるときは、ウェブ会議を使って公正証書を作成できるようになりました(同法 第37条第2項)。日本公証人連合会は、任意後見契約も、公証人が相当と認めた場合にはウェブ会議での面談と電子サインによって作成できるとしています。ただし、遺言や任意後見のように本人の意思確認が特に重要なものは慎重に判断されるとも説明しています。ご高齢の方の場合、当事務所では原則として公証役場での対面か、公証人の出張による作成をおすすめしています。
公正証書遺言も同じ日に
任意後見契約とあわせて公正証書遺言を作るご依頼が増えています。同じ公証役場で、同じ日に作成できるよう日程を調整します。公正証書遺言には証人2名の立会いが必要ですが、当事務所の行政書士2名が証人を務めることができます。
関連ページ
※公証人手数料は2025年10月1日時点の公証人手数料令によります。改正された場合は最新の額が適用されます。
行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏