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あおば行政法務事務所

相続・遺言 / igon

公正証書遺言—公証役場での作成手順と費用

公正証書遺言の方式要件、証人の欠格事由、公証人手数料の算定、作成当日の流れを、横浜市の行政書士が実務目線で整理します。

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公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言の代表的な方式です。方式不備のリスクが低く、意思能力の担保もあるため、当事務所でお作りする遺言の大半は公正証書です。このページは、方式要件・証人・手数料・作成当日の流れを整理します。

結論

  • 公正証書遺言は、証人2名の立会い、遺言者の口授、公証人の筆記・読み聞かせ、遺言者と証人の署名押印という5つの要件で構成されます(民法第969条)。
  • 推定相続人・受遺者およびその配偶者・直系血族は証人になれません(民法第974条)。
  • 公証人手数料は、受益者ごとの目的価額から算出し、1億円以下は遺言加算13,000円が加わります。
  • 病床等での出張作成は手数料1.5倍+日当+交通費です。
  • うなづくだけでは口授と認められません(最判昭和51年1月16日)。

背景と制度の目的

公正証書遺言は、公証人という法律専門職が遺言者の意思を確認し、方式を整えて作成する点に最大の特徴があります。公証人は元裁判官・検察官等の法律実務家から任命される公務員で、作成した公正証書は公文書として高い証明力を持ちます。

公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるため、紛失・改ざんのリスクが極小です。家庭裁判所の検認も不要で、死後は正本・謄本を使って直ちに遺言執行が可能です。これらの利点から、紛争リスクのある案件や、判断能力に疑義のある高齢遺言者の場合、当事務所は公正証書遺言を一択で推奨しています。

方式要件(民法第969条・第969条の2)

要件 内容 欠いた場合
証人2名以上の立会い 同時立会い必須 無効
遺言者による口授 遺言趣旨を公証人に口頭で述べる 無効
公証人による筆記と読み聞かせ 公証人が筆記し、遺言者・証人に読み聞かせまたは閲覧 無効
遺言者・証人の承認と署名押印 各自が承認の上で署名押印 無効
公証人の方式適合の付記と署名押印 公証人が方式に従い作成した旨を付記し署名押印 無効

遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記すれば足ります(民法第969条第4号但書)。聴覚・言語機能障害者は、通訳人による口授または自書によって口授に代えることができます(民法第969条の2)。

口授の実質

最判昭和51年1月16日は、遺言者が公証人の問いに対しうなづくのみで、遺言の内容を自らの言葉で口授したと認められない場合、公正証書遺言は無効とした事例です。事前に、遺言者がご自身の言葉で内容を説明できるかを面談で確認しておく必要があります。

証人の欠格事由(民法第974条)

以下の者は証人になれません。欠格者を証人とした公正証書遺言は方式違反で無効となります。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、およびその配偶者・直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記・使用人

配偶者の範囲(最判平成9年9月11日)

「配偶者」には推定相続人の配偶者も含まれます。長男のお嫁さんを証人にしてしまうと無効になります。証人の欠格性は、戸籍レベルで系図を描いて確認することが実務上の必須工程です。

当事務所の証人手配

  1. 当事務所の行政書士2名(最も安全)
  2. 公証役場紹介(1名あたり6,000円〜11,000円程度、役場により異なる)
  3. 顧客手配(欠格性を当事務所で再確認)

補助者は証人に立てないため、当事務所では齋藤光宏+宮本(行政書士)の組み合わせで対応しています。

公証人手数料の算定(公証人手数料令、2025年10月改定対応)

基本算定式

(受益者ごとに目的価額を算出 → 手数料表を適用)の合計
+ 遺言加算(目的価額合計1億円以下なら 13,000円)
+ 枚数加算(原本3枚超の場合、超過分 × 300円/枚)
+ 正本・謄本交付手数料(電子: 各2,500円/紙: 300円 × 枚数)

目的価額区分表

目的価額 手数料
〜100万円 5,000円
100万〜200万円 7,000円
200万〜500万円 11,000円
500万〜1,000万円 17,000円
1,000万〜3,000万円 23,000円
3,000万〜5,000万円 29,000円
5,000万〜1億円 43,000円
1億〜3億円 43,000円+5,000万円ごとに13,000円加算
3億〜10億円 95,000円+5,000万円ごとに11,000円加算
10億超 249,000円+5,000万円ごとに8,000円加算

出張作成の加算

病床等での執務は、手数料が1.5倍になります。日当は1日2万円(4時間以内なら1万円)、交通費は実費です。入院中・自宅療養中の遺言者には、公証人の出張を手配します。

受任から作成当日までの実務フロー

  1. 初回面談と受任。ヒアリングシートで家族関係・財産概要・意思を確認
  2. 相続人調査(戸籍収集)、財産調査(登記・評価・残高)
  3. 遺言原案の起草
  4. 公証役場へ事前連絡(電話予約、メールで原案・財産目録・戸籍・証人情報を送付)
  5. 公証人が案を整備し、メールで提示、修正往復
  6. 作成日調整(公証役場での作成または出張作成)
  7. 作成当日。遺言者の本人確認資料持参、口授・読み聞かせ・承認・署名押印
  8. 正本・謄本の交付、手数料支払い

作成当日の持ち物

  • 遺言者の印鑑証明書(3か月以内)+実印、または顔写真付き身分証+認印
  • 証人2名の本人確認書類
  • 公証人手数料の現金または振込準備

典型条項の骨格

第1条(特定財産承継)
  遺言者は、下記不動産を長男○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。
    (不動産表示は登記事項証明書のとおり)

第2条(金融資産承継)
  遺言者は、下記預貯金債権を妻○○に相続させる。
    株式会社○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

第3条(残余財産)
  遺言者は、上記各条項に記載した財産を除く一切の財産を妻○○に相続させる。

第4条(予備的条項)
  妻○○が遺言者の死亡以前に死亡した場合、第2条・第3条で妻に相続させるとした
  財産は長男○○に相続させる。

第5条(遺言執行者)
  遺言者は、本遺言の遺言執行者として行政書士 齋藤光宏を指定する。
  遺言執行者は本遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有する。

付言事項
  (家族への感謝、配分の理由、遺留分請求を控えてほしい旨の希望等)

よくある誤解・不備

証人の欠格に気づかず無効になる

推定相続人の配偶者は欠格者です。系図を描いて証人候補の続柄を逐一確認します。

不動産の表示が登記と一致しない

「マンション○○」と通称で書いてしまい、登記事項証明書の正式表示とずれて登記不能になる事例があります。不動産は登記事項証明書の表示を一字一句コピーします。

預貯金を「全ての預貯金」とだけ記載

金融機関名・支店・口座番号まで特定しないと、金融機関が払戻に応じないことがあります。

予備的条項の欠如

受遺者が遺言者より先に死亡すると、その条項は失効します(最判平成23年2月22日)。必ず第二順位を定めておきます。

印鑑証明書が3か月超過

公証役場で受け付けられません。作成日が確定してから印鑑証明書を取得します。

業際の注意

原案作成と公証役場調整は行政書士の業務範囲です。公正証書そのものの作成権限は公証人にあり、行政書士はその手前までを担当します。紛争性のある案件(相続人間の対立が顕在化、遺言無効が主張されている等)は、原案段階から弁護士と共同対応します。

あおば事務所の対応

当事務所では、初回面談で方式の選択(公正証書・自筆証書)をご相談したうえで、公正証書をお選びの場合は財産調査から公証役場調整、作成当日の立会いまで一貫してお引き受けします。

横浜公証センター・川崎公証役場・東京都内の公証役場と日常的にやり取りしており、公証人ごとの文案の好みや、リモート対応の可否も含めて最短ルートで作成に進められます。証人2名は当事務所で手配し、作成後は遺言執行者として就任して死後の実現まで伴走します。

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