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あおば行政法務事務所

家族信託 / 税務

家族信託の税金と届出—贈与税・相続税・登録免許税・信託の計算書

家族信託の税務は「受益者が誰か」で決まります。自益信託なら開始時の贈与税はかからないこと、受益者が変わるときの課税、不動産の登録免許税と不動産取得税、信託の計算書と受益者別調書の提出、損益通算の制限を、条文と国税庁の案内に基づいて整理します。

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家族信託では財産の名義が受託者に移りますが、税金の上では「受益者がその財産を持っている」ものとして扱われます(所得税法 第13条第1項)。このページでは、家族信託の税務の基本を整理します。具体的な税額や申告は、連携する税理士が担当します。

結論

  • 親が委託者兼受益者(自益信託)なら、信託を始めた時点で贈与税はかかりません。
  • 親以外の人を受益者にすると、その人が贈与(親の死亡による場合は遺贈)で財産を取得したものとみなされます(相続税法 第9条の2第1項)。
  • 受益者が亡くなって次の受益者に受益権が移るときは、相続税の対象になります。家族信託に相続税を減らす効果はありません。
  • 信託から生じた不動産所得の損失は、他の所得と損益通算できません(租税特別措置法 第41条の4の2)。

信託を始めるとき

課税 理由
委託者=受益者(自益信託) 贈与税なし 利益を受ける人が変わらないため
委託者≠受益者(他益信託) 受益者に贈与税(死亡に基因する場合は相続税) 適正な対価を負担せずに受益者となった場合、委託者から贈与・遺贈で取得したものとみなされる(相続税法 第9条の2第1項)

家族信託の多くが「親を受益者にする」形をとるのは、この課税を避けるためです。

不動産を信託するときの税金

税金 扱い
登録免許税(所有権移転) 委託者から受託者に信託のために移す登記は非課税(登録免許税法 第7条第1項第1号)
登録免許税(信託の登記) 不動産の価額の0.4%(登録免許税法 別表第一)。土地は令和11年3月31日までに登記する場合0.3%(租税特別措置法 第72条)
不動産取得税 委託者から受託者に信託財産を移す場合は課されない(地方税法 第73条の7第3号)

自益信託が終了し、委託者の相続人が残った不動産を受け取る場合は、相続による移転の登記とみなされ、相続と同じ税率(0.4%)になる扱いがあります(登録免許税法 第7条第2項)。

受益者が変わるとき・信託が終わるとき

受益者が亡くなって次の受益者が受益権を取得すると、遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象になります(相続税法 第9条の2第2項)。信託が終わって残った財産を帰属権利者が受け取る場合も、贈与または遺贈として扱われます(同条第4項)。

相続税の計算では、信託した財産も受益者の財産として評価されます。小規模宅地等の特例などの適用も含め、事前に税理士の試算を受けておくことをおすすめします。

毎年の届出

書類 提出する人 期限 提出が不要な場合
信託の計算書 受託者 毎年1月31日まで(所得税法 第227条) 各受益者の信託財産に帰せられる収益の額の合計が年3万円以下(計算期間が1年未満なら1万5千円以下)の場合(同法施行規則 第96条第2項)
信託に関する受益者別(委託者別)調書 受託者 信託の効力発生・受益者の変更などの事由が生じた月の翌月末日まで(相続税法 第59条第3項) 信託財産の評価額の合計が50万円以下の場合や、効力発生時に委託者と受益者が同一の信託の場合など(同法施行規則 第30条第7項)

賃貸不動産を信託した場合は、賃料収入があるため、ほとんどの場合で信託の計算書の提出が必要になります。

不動産所得の損失は損益通算できない

信託した賃貸不動産で生じた不動産所得の損失は、生じなかったものとみなされます(租税特別措置法 第41条の4の2第1項)。つまり、信託した物件の赤字を、信託していない物件の黒字や給与所得などと相殺できません。大規模修繕で赤字が見込まれる物件を信託する場合は、信託する物件の範囲を税理士と慎重に検討します。

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※このページは税務の概要をまとめたものです。個別の税額の計算・申告・税務相談は税理士の業務であり(税理士法 第52条)、連携する税理士が担当します。

行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏

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