家族信託 / 手続き
家族信託の手続きの流れ—設計・信託契約公正証書・信託口口座・信託登記
家族信託を始めるまでの手続きを順番に説明します。信託する財産と関係者の設計、信託契約書の作成と公正証書化(公証人手数料と信託加算1万3,000円)、信託口口座の開設、不動産の所有権移転及び信託の登記、始めた後の受託者の事務まで、横浜の行政書士が整理します。
家族信託は、契約書を作って終わりではありません。信託口口座を開き、不動産の名義を移し、始めた後は受託者が記録と報告を続けます。このページでは、ご相談から信託の運営までの流れを説明します。
結論
- ご相談から信託登記の完了まで、2〜3か月ほどを見込みます。
- 信託契約は法律上は公正証書でなくても成立しますが、信託口口座の開設で公正証書を求める金融機関が多いため、公正証書で作成するのが実務の標準です。
- 公証人手数料は、信託財産の価額に応じた手数料に、1億円以下なら13,000円が加算されます(公証人手数料令 第22条の2)。
- 不動産の信託登記は司法書士が担当します。登録免許税は所有権移転分が非課税、信託の登記が0.4%(土地は令和11年3月31日まで0.3%)です。
手続きの流れ
1. 設計
最初に、次の項目を決めます。家族信託の良し悪しは、この設計でほぼ決まります。
| 項目 | 検討する内容 |
|---|---|
| 信託の目的 | 何のための信託か(例:委託者の生活・介護費用の確保と、自宅の適切な管理・処分) |
| 信託財産 | 自宅・賃貸不動産・金銭のうち何を信託するか。年金の受取口座は信託できない |
| 受託者 | 誰が管理するか。受託者が亡くなった場合の後継の受託者 |
| 受益者 | 最初の受益者(多くは委託者自身)と、その次の受益者 |
| 受託者の権限 | 売却・賃貸・建替え・借入れをどこまで認めるか |
| 監督の仕組み | 信託監督人・受益者代理人を置くか、報告先を追加するか |
| 終了事由と帰属先 | いつ信託を終わらせ、残った財産を誰に帰属させるか |
設計の段階で、税理士(税務の影響)、司法書士(登記の可否)、口座を開く金融機関(受付の条件)に確認をとっておくと、後戻りがありません。
2. 信託契約書の原案作成
当事務所が原案を作り、ご家族に読んでいただきます。受託者の権限の書き方ひとつで、将来できることが変わるため、分かりにくい条項は一つずつ説明しながら仕上げます。
3. 信託契約公正証書の作成
公証役場と事前に文言を調整し、作成日を予約します。当日は委託者と受託者が公証役場に出向き、公証人が委託者の意思を確認します。公証人の出張や、公証人が相当と認める場合のウェブ会議による作成もあります。
日本公証人連合会によると、信託の公正証書の手数料は、目的の価額に応じた手数料(公証人手数料令 別表)に、信託財産の価額が1億円以下の場合は13,000円が加算されます。
4. 信託口口座の開設
受託者名義で、信託財産であることが分かる口座(信託口口座)を開き、信託する金銭を移します。取扱いは金融機関ごとに異なります。たとえば三井住友信託銀行は、公正証書による信託契約に限ることや、預かり残高の下限、専門家を通じた受付などを条件として公表しています。当事務所では、口座を開く金融機関の条件を事前に確認してから契約書を仕上げます。
5. 不動産の信託登記
不動産を信託した場合は、所有権移転の登記と信託の登記を同時に申請します(不動産登記法 第98条第1項)。登記簿には信託目録が作られ、受託者の権限などが記録されます。登記申請は司法書士の業務のため、連携する司法書士が担当します。
| 税金 | 内容 |
|---|---|
| 登録免許税(所有権移転) | 委託者から受託者への移転は非課税(登録免許税法 第7条第1項第1号) |
| 登録免許税(信託の登記) | 固定資産税評価額の0.4%。土地は令和11年3月31日までに登記を受ける場合0.3%(租税特別措置法 第72条) |
| 不動産取得税 | 委託者から受託者に移す場合は課されない(地方税法 第73条の7第3号) |
6. 信託の運営
信託が始まった後、受託者は次の事務を続けます。
- 信託財産と自分の財産を分けて管理する(信託法 第34条)
- 帳簿を作り、毎年1回、貸借対照表・損益計算書などを作成して受益者に報告する(同法 第37条)
- 信託財産から生じる収益が一定額を超える場合、翌年1月31日までに税務署へ信託の計算書を提出する
- 賃貸不動産の場合は、受益者の確定申告に必要な資料をそろえる
当事務所では、受託者向けに帳簿と報告書のひな形をお渡しし、最初の1年の運営をサポートします。
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※登記・税務の最終判断は、それぞれ司法書士・税理士が行います。
行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏