建設業許可・経審・入札参加 / keishin
経審のZ点—技術職員数と元請完成工事高
経営事項審査のZ点(技術職員数Z1と元請完成工事高Z2)の配点、常勤性と6か月超雇用の証明、資格取得支援のROIを、横浜の行政書士が整理します。
経審のZ点は「会社の技術力」を示す項目で、技術職員(Z1)と元請完成工事高(Z2)の合成で計算されます。Z1とZ2の比率は8対2で、技術職員の育成と資格取得が中心的なレバーとなります。このページでは、Z点の構造と改善策を整理します。
結論
- Z点はP点の25%を占め、業種別に計算されます。
- 算式は Z = 技術職員数の点数 × 0.8 + 年間平均元請完成工事高の点数 × 0.2。
- 1級技術者に監理技術者資格者証と講習受講を組み合わせると6点化できます。
- 常勤性と6か月超雇用は別論点で、同一書類では兼ねられません。
- 元請証明は、発注者欄がエンドユーザーとなっている契約書・印紙・入金記録の3点で固めます。
背景と制度の目的
Z点は、発注者が「この会社の技術者が本当に工事を遂行できるか」を判断する材料として設計されています。技術職員数そのものが評価されるのではなく、資格区分と常勤性と6か月超雇用が満たされた技術職員のみがカウントされるため、形式的な人数合わせではZ点は伸びません。
令和3年4月の監理技術者補佐(技士補)の追加、令和5年7月の技術職員資格コード細分化、令和5年8月のCCUS活用加点(こちらはW1側)など、近年の改正は若手技術者の活用と見える化された技能評価を後押しする方向で進んでいます。
Z点の算式
Z = 技術職員数の点数 × 0.8 + 年間平均元請完成工事高の点数 × 0.2
業種別に算出されるため、主力業種の絞り込みが前提になります。Z2(元請完成工事高)の計算基準(2年平均/3年平均)はX1と同じ選択が自動適用されます。
技術職員の配点
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 1級 + 監理技術者資格者証・講習受講 | 6点 |
| 1級(講習なし) | 5点 |
| 1級技士補(第一次検定合格)等 | 4点 |
| 登録基幹技能者等 | 3点 |
| 2級 | 2点 |
| その他技術者(実務経験のみ) | 1点 |
重要な運用ルール
- 1人の技術職員は最大2業種まで申請可能です。
- 同一業種で複数資格を持っていても、記載できる資格区分コードは1つです。点数が最も高い組合せで棚卸しします。
- 監理技術者講習の有効期間は受講した年の5年後の12月31日までです。
- 当期事業年度開始日の直前5年以内の受講が1級6点化の要件となります。
常勤性・6か月超雇用の証明
常勤性と6か月超雇用は別論点であり、同じ書類で兼ねられません。ここを取り違えると補正の原因になります。
常勤性(審査基準日時点で常勤)
| 証明書類 | 可否 |
|---|---|
| 標準報酬決定通知書 | 可 |
| 住民税特別徴収税額通知書 | 可 |
| 個人事業の確定申告書関係書類 | 可(個人事業主のみ) |
| 健康保険証 | 不可 |
| 社会保険の算定基礎届 | 不可 |
| 資格取得確認通知書 | 可 |
6か月超雇用
| 証明書類 | 可否 |
|---|---|
| 健康保険証 | 可(6か月超の雇用関係確認用) |
| 雇用保険資格取得等確認通知書 | 可 |
| 7か月分の賃金台帳 | 可 |
| 前年度副本で氏名確認 | 省略可の場面あり |
典型的な不備は、新規掲載者に○を付けたのに6か月超資料が揃わない、ちょうど6か月で「6か月超」を満たしていない、建設国保だけで証明しようとする、といったものです。
資格取得日・講習有効期限
- 資格の取得日・免状交付日は審査基準日以前であることが大前提です。
- 第二種電気工事士は、免状交付後3年の実務経験が必要です。
- 給水装置工事主任技術者は、免状交付後1年の実務経験が必要です。
- CCUSレベル3・4は、能力評価結果通知書の評価年月日が審査基準日以前であることが要件です。
出向者の扱い
出向者を技術職員として申請する場合、出向協定書に以下を記載します。
- 審査基準日前6か月超の出向期間
- 1年以上の出向期間
- 給与負担・指揮命令系統
加えて、出向元での常勤確認書類も必要です。期間要件を満たさない出向は、典型的な補正事由となります。
資格取得支援のROI
既存社員への資格取得支援は、中途採用に比べて圧倒的に費用対効果が高いのが実情です。受検費ベースの目安は以下のとおりです(受検手数料は指定試験機関の2026年度公表額)。
| 資格 | 経審評価 | 受検費目安 | 1点あたり費用 |
|---|---|---|---|
| 1級土木施工管理技士 | 5点 | 24,000円 | 約4,800円 |
| 1級建築施工管理技士 | 5点 | 24,600円 | 約4,920円 |
| 1級管工事施工管理技士 | 5点 | 25,400円 | 約5,080円 |
| 1級電気工事施工管理技士 | 5点 | 31,600円 | 約6,320円 |
| 一級建築士 | 5点 | 17,000円 | 約3,400円 |
| 登録基幹技能者 | 3点 | 15,000〜44,000円 | 約5,000〜14,667円 |
受検手数料以外に、教材費・講習会費・再受験費は別途発生します。
実務戦略
- 既存1級資格者の6点化余地(資格者証・講習の切れの洗い直し)を確認します。
- 実務経験者は、第一次検定合格(技士補)で先に4点化し、翌年度の第二次検定で5点化する順序が現実的です。
- 登録基幹技能者は、現場実務に強い職長層のROIが高い選択肢です。
- 中途採用は成功報酬と初年度人件費で数百万円規模。既存社員の資格取得支援が先です。
Z2:元請完成工事高
Zの20%を構成する項目で、X1の2年平均/3年平均選択と同じ基準で集計します。元請としての工事実績のみが対象で、下請は含まれません。
元請と認定されるには、以下が必要です。
- 工事請負契約書・注文書・請書の原本(または写しに原本証明)
- 発注者欄が**エンドユーザー(施主)**であること
- 印紙貼付・消印が適正
- 完成後の請求書・入金記録と整合していること
口頭発注や簡素な書面では認定されません。
個人経験と会社のZ2の区別
現行制度では、技術職員個人の経験年数に元請完成工事高で直接加点する仕組みはありません。元請完成工事高は会社のZの20%を構成する別枠です。技術職員について審査されるのは、常勤性・6か月超恒常雇用・資格講習の有効性・資格区分コードの適正性です。社内管理では、個人票と工事証憑票を分けて管理する体制を推奨します。
よくある不備
- 常勤と6か月超を同一書類(健康保険証)で兼ねる
- 新規掲載者の6か月超資料の忘れ
- 資格取得日が審査基準日後
- 監理技術者講習の期限切れ
- 同一業種に複数コードを載せる
- 1人の技術者を3業種以上に割付(2業種が上限)
- 出向協定書の期間要件不足
- 元請契約書に印紙がない、発注者欄がエンドユーザーでない
- 20002帳票(元請完成工事高)と個人経験を混同
他士業との業務境界
技術職員の資格区分と業種割付、経審申請代理は行政書士の業務です。社会保険適用届・資格取得届、就業規則、継続雇用制度は社会保険労務士の領域です。CCUS事業者登録・技能者登録は、CCUS登録行政書士または建設業振興基金で対応します。
あおば事務所の対応
ご依頼では、技術職員の棚卸しから着手します。在籍する全技術者の資格・免状・講習・常勤状況を一覧化したうえで、6点化できる人、4点化・5点化を目指す人、登録基幹技能者に進む人を業種別に整理します。
元請契約書の点検(印紙・押印・発注者欄)も併せて行い、次の決算期までに改善できる項目を逆算で設計します。技術者の採用計画が必要な場合は、社労士・ハローワークとの連携もご案内します。