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あおば行政法務事務所

相続・遺言 / igon-renkei

遺言と相続の連続受任—生前から死後までの伴走

遺言作成から死後の相続手続きまで、同一事務所で連続受任する設計を解説します。生前資料の蓄積、自筆証書遺言書保管制度、死後の初動3週間の標準工程、遺言執行者の動きを、横浜市の行政書士が整理します。

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遺言作成と相続手続きを同じ事務所で連続して担当することを、連続受任と呼びます。生前に資料を整えておけば、死後の手続きは3週間程度の標準工程で回せます。ご家族にとっても「父(母)が生前から相談していた事務所」という安心感があります。このページは、生前から死後までをつなぐ伴走の設計を整理します。

結論

  • 生前に推定相続人・財産・連絡先の資料を整えておくと、死後の手続きが大幅に短縮できます。
  • 自筆証書遺言書保管制度を使うと家庭裁判所の検認が不要になり、死後の初動が早まります。
  • 遺言執行者が指定されていれば、相続人全員の協議を経ずに名義変更を進められます。
  • 当事務所が遺言執行者となる場合、登記は司法書士、相続税申告は税理士に復任します。
  • 紛争の兆しが出れば、執行者としての業務を停止し、弁護士にお繋ぎします。

連続受任の意義

ご依頼者様側のメリット

  • 同一事務所が全工程を担当するため、家族が説明を繰り返す必要がない
  • 生前資料が蓄積されているため、死後の工程が短縮される
  • 家族は「生前から相談していた先生」という安心感を持てる

ご家族・事務所双方の継続性

  • 既存のご縁を絶やさず、ご家族の節目に同じ顔ぶれで伴走できる
  • ご家族世代(お子様・お孫様世代)への関係性が自然に育つ

全体像

[生前]                              [死亡]              [死後]
遺言作成 ────────────────────┐
  ├ 付随: 死後事務委任           │
  ├ 付随: 財産・家族情報の蓄積     │
  └ 付随: 顧問契約               │
                               ▼
                          [連続受任]
                               │
                               ▼
相続人調査 → 財産調査 → 協議書 → 名義変更 → 完了報告
  ↓
次世代案件への展開(子の遺言・生前対策)

生前段階で残すと死後が軽くなる資料

遺言作成の段階で、以下の資料を整理しておくと、死後の戸籍収集・手続振分けが大幅に短縮されます。

残しておきたい資料

  1. 推定相続人一覧:氏名・生年月日・住所・本籍・連絡先・続柄・法定相続分
  2. 資産一覧:不動産(所在・地番・家屋番号・固定資産評価額)、預貯金(金融機関・支店・口座番号)、証券(証券会社・口座番号・主な銘柄)、保険(保険会社・証券番号・受取人)、自動車(登録番号・車台番号)、非上場株式・事業用資産
  3. 負債・保証の一覧:借入金(金融機関・残高・担保)、保証債務(相手先・金額)
  4. 連絡先リスト:主治医、税理士・司法書士・弁護士、金融機関・証券会社の担当者、葬儀社・墓地・菩提寺
  5. 保管場所メモ:遺言書の保管場所(または法務局保管の情報)、権利証・登記識別情報、実印・印鑑登録カード、貸金庫

資料のアップデート

  • 年1回のレビュー(顧問契約)
  • ライフイベント発生時の見直し(転居・家族構成の変化・財産変動)

自筆証書遺言書保管制度の活用

制度の特性

法務局による自筆証書遺言書保管制度を使うと、以下のメリットがあります。

  • 死後の家庭裁判所での検認が不要
  • 相続人等は遺言書情報証明書の交付請求や閲覧で内容を確認できる
  • 一定の場合には関係相続人等への通知制度がある

事務所運用への影響

通知制度により、事務所が遺言書の存在を早期に把握できます。検認手続き(家裁で1〜2か月)を飛ばせるため、死後の初動を3週間の標準工程に乗せやすくなります。

方式の使い分け

案件 推奨方式
紛争リスクあり、重要資産あり 公正証書遺言
シンプル案件、費用を抑えたい 自筆証書+法務局保管
おひとり様、死後事務委任とセット 公正証書+死後事務委任
事業承継絡み 公正証書(税理士・弁護士連携)

死後の初動3週間の標準工程

連続受任の案件では、以下の工程で動けます。

Week 1

  • 死亡連絡の受領
  • 保管遺言の有無確認(法務局保管・自筆証書・公正証書)
  • 遺言書情報証明書の取得(自筆証書保管の場合)
  • 公証役場での謄本取得(公正証書の場合、無料)
  • 相続関係説明図の確定(生前資料があれば数日で完成)

Week 2

  • 法定相続情報一覧図の申出(生前資料で戸籍収集済みなら即日)
  • 金融機関別マトリクスの作成
  • 司法書士・税理士への紹介同意をご依頼者様から取得

Week 3

  • 士業連携開始(司法書士による相続登記準備、税理士による申告準備)
  • 遺言執行者就任通知(遺言執行者の場合)
  • 財産目録の整備

このスピード感は、生前に資料を整備した連続受任案件でのみ達成可能です。生前資料がない相続案件では、戸籍収集だけで1〜2か月かかる場合もあります。

遺言執行者としての動き

遺言執行者の職務(民法第1012条)

  • 相続人への就任通知(民法第1007条)
  • 財産目録の作成・交付
  • 名義変更・払戻し・解約
  • 受遺者への分配
  • 完了報告

行政書士が執行者となる場合

  • 報酬は遺言書に定められるか、なければ家裁決定
  • 登記申請は司法書士に復任(民法第1016条)
  • 税務申告は税理士に連携(税理士法第52条により税務代理は税理士でないとできないため、事実上必須)
  • 紛争化したら業務を停止し、弁護士にお繋ぎ

遺言がある場合の手続きの違い

段階 遺言なし 遺言あり
相続人確定 必要 必要
財産調査 必要 必要(執行者主導)
協議書 相続人全員で作成 不要(遺言が根拠)
金融機関解約 全員の実印+印鑑証明 執行者単独で可
相続登記 協議書ベース(司法書士) 遺言ベース(司法書士)
完了 協議成立まで停滞リスクあり 執行者ペースで進行

遺言があれば、相続人間の合意形成を待たずに、執行者主導で処理できます。

遺留分侵害の扱い

遺言で遺留分を侵害された場合、遺留分権利者から遺留分侵害額請求(民法第1048条、1年以内)が行われることがあります。請求があれば、執行者は金銭支払で対応します。紛争化した段階で、執行者としての業務は停止し、弁護士にお繋ぎします。

顧問契約・死後事務委任契約のバンドル

顧問契約

  • 月額制または年間制
  • 生前資料のアップデート
  • 家族構成・財産変動時の見直し
  • 将来の相続手続きの優先受任

死後事務委任契約

通常の遺言とは別の契約で、死後の事実的事務を委任いただきます。

  • 葬儀・火葬の手配
  • 遺品整理
  • 公共料金・ライフラインの解約
  • 関係者への連絡
  • 遺骨の納骨・散骨
  • SNSアカウントの削除

おひとり様案件のセット提案

配偶者・子がいないご依頼者様には、公正証書遺言+死後事務委任+任意後見の三点セットが推奨パターンになります。死後事務委任の報酬は、相続財産からの受領を遺言で別途定めます。

連続受任を前提とした契約条項

遺言作成契約書には、相続手続きの優先受任を明記する条項を入れます。

(相続手続の優先受任)
第〇条 遺言者は、自らの死後の相続手続(遺言執行、相続人調査、財産調査、
遺産分割協議書作成、金融機関手続等)を、行政書士あおば行政法務事務所に
依頼することを希望する。ただし、相続人らの意向により他の専門家に依頼
することを妨げない。
(情報の保管)
第〇条 本契約に基づき取得した遺言者の家族構成、財産情報、連絡先等は、
遺言者の死亡まで当事務所にて厳重に保管し、死亡後の相続手続に使用する
ことに遺言者は同意する。

相続完了後の再受任導線

アフターフォローで生まれる新規案件

  • 不要土地対応:相続土地国庫帰属制度(行政書士も対象資格者に含まれます)
  • 会社の議決権再設計:事業承継の継続案件
  • 次世代への遺言作成:子世代の遺言提案
  • 家族信託の検討:将来の認知症対策

ライフタイムの視点

  • 親の遺言作成(50代〜70代の時点)
  • 親の死亡・相続手続(70代〜80代で発生)
  • 子の遺言作成(親の相続を機に50代で)
  • 子の死亡・相続手続(30〜40年後)
  • 孫の遺言作成(同じ事務所に依頼)

一つの家族と3世代にわたる関係性を築けるのが、遺言・相続業務の特徴です。

業際の注意

  • 遺言書の作成:公正証書遺言は公証人が作成し、行政書士は原案作成を支援します。自筆証書遺言はご本人の自書が必要で、行政書士はサポートする立場です。
  • 遺言執行者の復任:相続登記は司法書士、相続税申告は税理士が担当します。行政書士が執行者であっても、これらの専門業務は復任・連携で進めます。
  • 遺留分侵害額請求への対応:紛争化したら弁護士にお繋ぎします。執行者として金銭支払の事務的処理までは対応できますが、交渉・調停は弁護士の領域です。
  • 相続税申告:税理士の独占業務です。

連続受任で一人の先生がすべてを見ているように見えても、実際は複数の士業で分担しています。その分担を明確にしたうえで、ご依頼者様への窓口を一本化するのが、連続受任の基本設計です。

よくある不備・注意点

  • 生前資料の不足で、死後の戸籍収集が振り出しに戻る
  • 遺言書の保管場所をご家族に伝えておらず、死後の探索に時間を要する
  • 自筆証書保管制度の通知受取人を指定しておらず、事務所への連絡が遅れる
  • 顧問契約が継続していたのに見直しを怠り、古い相続人情報のまま
  • 死後事務委任契約の報酬を遺言で定めていない
  • 遺言執行者として就任通知せずに先に財産を動かす
  • 紛争の兆しがあるのに執行を継続し、後で執行者責任を問われる

あおば事務所の進め方

当事務所では、遺言作成のご依頼をいただいた段階から、将来の相続手続きを見据えた資料整備をご提案します。推定相続人一覧・資産一覧・連絡先リスト・保管場所メモを整理し、年1回のレビューでアップデートします。自筆証書遺言書保管制度を使う場合は、通知受取人に当事務所を指定いただくことで、死後の連絡を早く受け取れます。死亡連絡を受けた後は、3週間の標準工程で金融機関・法務局・税務の動きを進め、司法書士・税理士と連携して名義変更を完了します。完了後のアフターフォロー(不要土地対応・次世代の遺言作成)までを視野に入れ、ご家族の世代をまたぐ伴走を大切にしています。

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