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あおば行政法務事務所

任意後見契約(移行型) / 手続き

任意後見監督人の選任と移行—申立てのタイミング・書類・監督人の役割

任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めて効力を生じます。申立てができる人、本人の同意、必要書類と費用(収入印紙800円・登記印紙1,400円)、審理の流れ、監督人の職務と報酬を、裁判所・法令の一次資料に基づいて整理します。

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任意後見契約を結んでも、それだけでは任意後見人の代理権は使えません。判断能力が衰えた後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時に初めて効力を生じます(任意後見契約に関する法律 第2条第1号)。このページでは、その「切り替え」の手続きを説明します。

結論

  • 申立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者です(同法 第4条第1項)。
  • 本人以外が申し立てる場合は、本人が意思を表示できないときを除き、本人の同意が必要です(同条第3項)。
  • 費用は、収入印紙800円、登記手数料の収入印紙1,400円、郵便切手です。鑑定が必要な場合は鑑定費用がかかります。
  • 申立書類の作成・提出の代理は、司法書士・弁護士の業務です。当事務所は連携して準備を進めます。

申立てのタイミング

「判断能力が不十分になった」と言える時期に明確な線はありません。次のような変化が見えたら、かかりつけ医に相談し、申立ての準備を始めます。

  • 通帳や支払いの管理が一人では難しくなった
  • 同じ物を何度も買う、訪問販売で不要な契約をしてしまう
  • 介護サービスや施設の契約内容を理解することが難しくなった
  • 金融機関から、ご本人の取引について確認の連絡があった

移行型の場合、委任契約の受任者が日頃の事務の中で変化に気づけるため、申立てが遅れにくいのが利点です。反対に、変化に気づきながら申立てをしないまま委任契約を続けることは、公的な監督を避ける形になり、問題視されています。当事務所の原案では、判断能力の低下を認めたら速やかに申し立てる義務を明記しています。

統計を見ると、任意後見契約の登記は年間1万7千件を超える(2024年は17,665件)一方、任意後見監督人選任の申立ては2025年に881件でした。契約を結んだまま発効していない例が多いことがうかがえます。

申立先と必要書類

申立先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。主な書類は次のとおりです(詳細は各家庭裁判所の案内で確認します)。

書類 備考
申立書・申立事情説明書 家庭裁判所の書式
任意後見契約公正証書の写し
本人の戸籍謄本・住民票
任意後見受任者の住民票
登記事項証明書(任意後見) 窓口は東京法務局後見登録課または各地の法務局・地方法務局の本局
医師の診断書 家庭裁判所の書式
本人情報シート ケアマネジャーなど福祉関係者が作成
財産目録・収支予定表 移行型では委任期間中の記録をもとに作れる
親族関係図

審理から選任まで

家庭裁判所は、申立人や任意後見受任者と面接し、本人の状況を調べます。必要に応じて医師による鑑定が行われます。最高裁判所の統計(2025年)では、成年後見関係事件で鑑定を行ったのは全体の約3.4%で、鑑定を行った事件の約85.8%で鑑定費用は10万円以下でした。

受任者の配偶者・直系血族・兄弟姉妹は任意後見監督人になれません(同法 第5条)。監督人には、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれるのが一般的です。受任者に不正な行為などがあって任務に適しないと判断された場合は、監督人は選任されず、契約は発効しません(同法 第4条第1項第3号)。

監督人が選ばれた後

監督人が選任されると任意後見契約が効力を生じ、移行型の委任契約は終了します。任意後見人は、代理権目録の範囲で事務を行い、監督人に定期的に報告します。

任意後見監督人の主な職務は次のとおりです(同法 第7条第1項)。

  • 任意後見人の事務を監督すること
  • 任意後見人の事務について、家庭裁判所に定期的に報告すること
  • 急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内で必要な処分をすること
  • 任意後見人とご本人の利益が相反する行為について、ご本人を代表すること

任意後見人に不正な行為や著しい不行跡があるときは、家庭裁判所は監督人・本人・親族・検察官の請求によって任意後見人を解任できます(同法 第8条)。

監督人の報酬

任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決め、ご本人の財産から支払います。最高裁判所は「報酬に関する実情調査の集計結果」を公表しており、管理する財産の額の区分ごとに、審判で決まった報酬額の分布を示しています。金額は財産の額や事務の内容によって変わるため、見込みはご相談の際にご説明します。

2026年改正後の変化

2026年6月に成立した改正法(令和8年法律第45号)では、家庭裁判所が、任意後見監督人による監督の必要が明らかにないと認めるときは、監督人を選任せずに家庭裁判所が直接監督できるしくみや、本人が公正証書で指定した人も任意後見契約を発効させる手続を申し立てられるしくみが設けられました。施行は公布(2026年6月24日)から2年6か月以内です。

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※任意後見監督人選任の申立書類の作成・提出の代理は、裁判所に提出する書類の作成にあたるため、司法書士・弁護士が担当します(司法書士法 第3条・第73条)。

行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏

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