外国人雇用支援 / gino-jisshu
技能実習と特定技能への移行ルート—育成就労制度も見据えて
技能実習1号・2号・3号の構造、良好修了の要件、特定技能への移行手続き、2027年4月施行予定の育成就労制度まで、横浜の行政書士が雇用側の視点で整理します。
技能実習は、2027年4月に施行予定の育成就労法により段階的に再編されます。これから受入を検討する事業者は、新制度への移行と特定技能への接続を見据えて設計する必要があります。このページは現行制度と移行ルートの要点をご案内します。
結論
- 技能実習は1号(1年)・2号(2年)・3号(2年)の3段階。通算最長5年です。
- 移行対象は91職種168作業。対象外の職種は1号のみで1年の受入れに留まります。
- 2号を良好に修了すれば、同一分野の特定技能1号に変更する際、技能試験・日本語試験が免除されます。
- 2027年4月1日施行予定の育成就労法により、技能実習は段階的に廃止され、特定技能への移行を前提とした「育成就労」制度に置き換わります。
- 受入機関は技能実習計画のOTIT認定が必要。入管のCOE申請はその後に続きます。
背景と制度の転換点
技能実習は1993年創設の制度で、「日本で培われた技能の開発途上地域への移転による国際協力」を目的に掲げています。条文上は「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記されています。
しかし実態として労働力確保の手段となっている実情と、送出機関による過大な費用徴収、失踪、人権侵害の問題が指摘されてきました。2024年6月21日に育成就労法が公布され、2027年4月1日に施行予定です。新制度は「特定技能への移行を見据えた人材育成」を目的に掲げ、転籍の柔軟化、監理団体の改組(監理支援機関)が盛り込まれています。
現行制度で受け入れている実習生は経過措置があり、育成就労に置き換わる形で制度移行します。新規の受入をこれから検討する事業者は、育成就労を前提とした設計が実務的です。
技能実習の3区分
| 区分 | 在留期間 | 次区分への移行要件 |
|---|---|---|
| 1号 | 1年以内 | 技能検定基礎級(または同等の評価試験初級)の合格が必須 |
| 2号 | 2年以内 | 技能検定3級(または同等の専門級)の受験、3号へは一時帰国1か月以上、実習実施者・監理団体の優良認定 |
| 3号 | 2年以内 | — |
1号の最初の2か月は入国後講習(160時間以上)が義務で、この期間は労働禁止です。日本語、日本の法令、生活知識を学びます。
移行対象91職種168作業
OTITが公表する91職種168作業が2号・3号への移行対象です。移行対象外の職種は1号で1年受け入れた後に帰国が前提となります。
農業関係(耕種農業、畜産農業)、漁業関係、建設関係(型枠施工、鉄筋施工、とび、左官、内装仕上施工等)、食品製造関係、機械・金属関係、介護、ビルクリーニング、自動車整備、宿泊などが対象です。
業務構成比率も厳格で、必須業務50%以上、関連業務50%以下、周辺業務は3分の1以下に収める必要があります。実態が計画と乖離すると認定取消のリスクがあります。
受入人数枠(団体監理型)
| 実習実施者の常勤職員数 | 1号の基本人数枠 |
|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の1/20 |
| 201〜300人 | 15人 |
| 101〜200人 | 10人 |
| 51〜100人 | 6人 |
| 41〜50人 | 5人 |
| 31〜40人 | 4人 |
| 30人以下 | 3人 |
優良認定を受けた実習実施者と一般監理事業の許可を持つ監理団体の組合せでは、基本人数枠の2倍まで拡大でき、3号受入も可能です。
2段階の認定と申請
技能実習の受入は2段階で構成されます。
段階1:技能実習計画のOTIT認定
OTIT(外国人技能実習機構)に技能実習計画を提出し、認定を受けます。標準処理期間は4〜6か月で、繁忙期はさらに延びることがあります。書面審査に加えて実地調査も入ります。
段階2:入管への在留資格申請
OTITの認定通知書を添付して、地方出入国在留管理局にCOE申請を行います。OTITの認定が前提条件で、認定なしにはCOE申請ができません。
特定技能1号への移行
技能実習2号を良好に修了した実習生は、同一分野の特定技能1号に変更する際、技能試験と日本語試験が免除されます。「良好に修了」とは以下の2条件を満たすことを指します。
- 技能実習2号を2年10か月以上修了している
- 技能検定3級または同等の技能実習評価試験(専門級)に合格している
試験に合格できなかった場合でも、監理団体が「修得した技能等の程度が技能検定3級等に相当する水準であること」を記載した評価調書を作成・提出することで、良好修了として扱われることがあります。
変更申請は、技能実習2号の満了予定3〜6か月前から準備を開始します。満了ギリギリだと間に合わず、一時帰国を挟むことになりかねません。
育成就労制度の要点(2027年4月施行予定)
目的の転換
「国際貢献」から「人材確保と育成」へ目的を変更。特定技能への移行を明示的に制度目的に組み込みます。
転籍要件の柔軟化
従来の技能実習は原則として転籍不可(やむを得ない事由のみ)でしたが、育成就労では一定期間経過後の転籍が認められる見込みです。詳細は施行令・省令で定まります。
監理団体から監理支援機関へ
監理団体は「監理支援機関」に改組され、外国人のキャリア形成支援の機能が強化されます。支援機関としての許可要件も見直されます。
既存の技能実習生の扱い
現に技能実習中の者は経過措置により、育成就労に置き換えられるか、既存のまま修了まで継続されるかが設計されます。詳細は施行令で定まります。
よくある誤解・不備
移行対象職種の誤認
自社の業務が移行対象の91職種168作業に該当するかは、OTIT公表の一覧で確認が必要です。「近い業種」では足りず、職種・作業レベルで一致している必要があります。
1号の入国後講習の運用
2か月160時間の講習は労働禁止期間です。この間に実作業に従事させると制度違反となり、認定取消のリスクがあります。
良好修了の前提条件の確認不足
2年10か月以上の修了と技能検定3級相当の両方が必要です。実習期間が2年9か月しかない状態で特定技能への変更を目指すと、間に合いません。
特定技能と技能実習の直接比較
「技能実習より特定技能のほうが有利」と単純に言えるケースばかりではありません。分野別の要件、家族帯同の可否、受入機関の要件で状況は変わります。
あおば事務所の対応
技能実習の新規受入は、育成就労の施行日との関係で受任判断が変わるため、現状は既存の受入企業の継続支援と、特定技能への移行設計を中心に対応します。監理団体(または施行後の監理支援機関)との連携、2号修了者の特定技能変更スケジュール、受入計画の作り込みまでご相談ください。
育成就労法の施行令・省令は順次公布予定です。新制度に関する最新情報は、出入国在留管理庁・OTITの公表資料を確認のうえ、個別案件でご案内します。