外国人雇用支援 / eijusha
永住者を雇用する場合の留意点—就労制限なしでも残る実務論点
永住者・特別永住者の雇用で留意する点、在留カード更新、再入国許可、永住許可の取消リスクまで、外国人雇用を続ける経営者向けに横浜の行政書士が整理します。
永住者は就労制限なく日本で働けるため、雇用側は技人国や特定技能のような在留資格の個別管理から解放されます。ただし、在留カードの更新、再入国許可、永住許可の取消事由など、雇用側としても押さえておくべき論点が残ります。
結論
- 永住者・特別永住者は就労制限がなく、職種を問わず採用できます。雇用側で在留資格の更新手続きは不要です。
- ただし在留カードには有効期間(16歳以上は7年)があり、本人が期限内に更新手続きを行う義務があります。更新失念は20万円以下の罰金対象です。
- 永住者が海外渡航する場合、1年以内は「みなし再入国」、1年超は通常の再入国許可(最長5年)が必要です。期限超過で永住の地位を失います。
- 2024年改正で、永住者も納税・社保の重大な違反で許可が取り消されるリスクが制度化されました。
- 採用時の在留資格確認は、在留カード原本の提示と裏面の「就労制限の有無」欄の確認で完結します。
背景と制度の位置づけ
永住者は入管法上の在留資格の中で最も安定した地位を持ちます。就労制限なし、在留期間は無期限。日本で長期的にキャリアを築く外国人にとって到達点の一つです。
とはいえ日本国籍ではないため、在留カードの常時携帯義務、再入国許可、退去強制の対象となり得ること、入管法上の届出義務など、国籍者にはない制約が残ります。雇用側もこの点を把握しておくことで、長期雇用の設計が整います。
採用時の在留資格確認
永住者・特別永住者の方を採用する際の確認は、以下の手順で完結します。
- 在留カード(特別永住者は特別永住者証明書)原本の提示を受ける
- カード表面の「在留資格」欄が「永住者」または「特別永住者」であることを確認
- カード裏面の「就労制限の有無」欄が「就労制限なし」であることを確認
- カードの有効期間が採用時点で有効であることを確認
この4点が揃えば、技人国や特定技能のような個別の在留資格確認は不要です。雇用開始後の入管への届出も、永住者についてはほぼ発生しません。
在留カードの有効期間
永住者の在留期間そのものは無期限ですが、在留カードには有効期間があります。
| 年齢 | 在留カードの有効期間 |
|---|---|
| 16歳以上 | 7年 |
| 16歳未満 | 16歳の誕生日まで |
期限内に本人が出入国在留管理庁で更新手続きを行います。更新を怠った場合、20万円以下の罰金対象となります。在留資格そのものは失いませんが、カードがないと常時携帯義務の違反に問われます。
再入国許可
永住者が海外に出国する際は、再入国の手続きを事前にしておく必要があります。
みなし再入国(1年以内)
1年以内に日本に戻る予定であれば、出国時に「みなし再入国出国」を空港で手続きするだけで済みます。特別な事前申請は不要です。
通常の再入国許可(1年超)
1年を超えて海外に滞在する場合は、通常の再入国許可(最長5年)を事前に取得します。数次(複数回の出入国)と単数(1回のみ)の種類があります。
期限超過のリスク
みなし再入国の1年、または通常の再入国許可の期限を海外で超過した場合、永住者の地位を失います。再度永住許可申請からやり直しになり、10年以上の再在留が必要です。海外赴任や長期出張の際は、再入国許可の期限管理が極めて重要です。
永住許可の取消事由(2024年改正)
2024年の入管法改正で、永住者についても取消事由が整理されました。主なポイントは以下です。
- 公的義務(税・社保)の重大な違反
- 偽りその他不正の手段で永住許可を受けた場合
- 退去強制事由に該当する重大犯罪
「公的義務の重大な違反」は、住民税・所得税・公的年金・公的医療保険の未納や滞納が長期・常態化するケースが想定されます。永住許可の取消が即時退去強制とは限りませんが、永住から他の在留資格への変更や、退去強制の対象となり得るため、雇用側が給与天引きを確実に運用することが、本人の在留安定にも資することになります。
配偶者・子の在留資格
永住者の配偶者・子の在留資格は以下のとおりです。
- 永住者の配偶者等: 永住者と婚姻関係にある配偶者、または永住者の実子で、本邦で出生した子
- 家族滞在: 養子や本邦外で出生した子のうち、永住者の配偶者等に該当しないケースで呼び寄せる場合
- 定住者: 永住者の実子で本邦外で出生した者等
永住者の配偶者・子が在留資格の変更・更新を行う際、雇用主が直接関与することは通常ありません。ただし、本人が永住申請に進む段階では、職場での在留状況の安定を示す在職証明書等が必要になります。
特別永住者
特別永住者は、サンフランシスコ平和条約で日本国籍を離脱した朝鮮半島・台湾出身者とその子孫を対象とする特別の地位です。永住者と同様に就労制限はなく、在留カードの代わりに「特別永住者証明書」が交付されます。
特別永住者証明書の有効期間は7年(16歳以上)です。永住者と異なり、再入国許可の制度運用もより柔軟です。
よくある誤解・不備
採用時に在留カードのコピーのみで確認を済ませる
在留カードの偽造事例が報告されています。原本を提示してもらい、表面・裏面を確認したうえでコピーを保管する運用が推奨されます。
在留カードの更新漏れ
カードの更新は本人の義務ですが、雇用側が従業員の在留カード期限を一覧で把握しておくと、更新漏れを防げます。
長期海外赴任の再入国許可漏れ
海外支店への長期赴任で、再入国許可の期限を失念し、永住の地位を失うケースが実務で起こります。人事部門と本人の双方で期限管理が必要です。
特別永住者に外国人雇用状況届出を行う
特別永住者は外国人雇用状況届出の対象外です(雇用対策法施行規則)。永住者は対象です。この区別を取り違えないようにします。
あおば事務所の対応
永住者・特別永住者の雇用は、原則として雇用側の在留資格手続きは発生しません。当事務所がご支援するのは主に以下の場面です。
- 永住申請そのもの(就労系から永住への切替え、高度専門職特例の活用)
- 家族滞在の配偶者を永住者の配偶者等に切り替える変更申請
- 海外赴任前の再入国許可の取得
- 在留カード更新失念時の対応
永住申請の許可見込み診断、在留歴・納税・社保履行の点検、立証資料の整備までご相談ください。