外国人雇用支援 / kazoku-taizai
家族滞在ビザ—扶養者の要件と呼び寄せ手続き
家族滞在の在留資格について、呼び寄せ可能な扶養者の範囲、扶養能力の立証、資格外活動許可(週28時間)、就労系資格との接続を、横浜の行政書士が整理します。
家族滞在は、就労系や留学の在留資格で日本に在留する外国人の配偶者・子が、扶養を受けて日常生活を送るための在留資格です。雇用側としては、海外から家族を呼び寄せたい社員への対応、配偶者の就労の扱いが主な論点になります。
結論
- 技人国・高度専門職・経営管理・教育・介護等の就労系資格の保持者は、配偶者と子を家族滞在で呼び寄せられます。
- 特定技能1号・技能実習・短期滞在・研修の在留者は、原則として家族滞在で家族を呼べません。特定技能2号は可能です。
- 扶養者の年収は、配偶者1人で300万円以上、子1人につき+50万円程度が実務上の目安(単身就労系の場合)です。
- 家族滞在の配偶者・子は原則就労不可ですが、資格外活動許可を取得すれば週28時間までアルバイトができます。
- 扶養者が退職・帰国すると、家族滞在も失効するリスクがあります。早期のご相談を推奨します。
背景と制度の位置づけ
家族滞在は、日本で働く外国人の家族の生活基盤を整え、外国人労働力の日本への定着を下支えする制度です。呼び寄せ可能な扶養者の範囲が限定されている点が特徴で、人材確保が目的の在留資格(特定技能1号・技能実習)では家族帯同が原則として認められません。
呼び寄せ可能な扶養者の在留資格
| 扶養者の在留資格 | 家族滞在で呼べるか |
|---|---|
| 教授、芸術、宗教、報道 | 可能 |
| 高度専門職(1号・2号) | 可能 |
| 経営・管理、法律・会計業務 | 可能 |
| 医療、研究、教育、介護 | 可能 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 可能 |
| 企業内転勤、技能、興行 | 可能 |
| 特定技能2号 | 可能 |
| 文化活動 | 可能 |
| 留学(基準省令第1号イ・ロ) | 可能 |
| 特定技能1号、技能実習 | 不可 |
| 短期滞在、研修 | 不可 |
| 家族滞在、特定活動 | 不可(孫の呼び寄せ不可) |
留学生の家族滞在は、大学・大学院・高等専門学校・専修学校専門課程の一部の在籍者に限定されます。日本語教育機関のみの留学生は家族滞在を呼べません。
「扶養を受ける」の意義
家族滞在は「扶養を受ける」配偶者または子のための資格です。扶養者が扶養の意思を持ち、かつ扶養する経済力を備えていることが審査の要です。
配偶者
法律上有効に存続している婚姻関係の配偶者です。内縁関係、離別後、外国で成立した同性婚は原則として対象外です。「合理的な理由がない限り、同居して生活していること」が要件で、単身赴任が続く状態は扶養実態の疑義が生じます。
子
嫡出子、養子、認知された非嫡出子が対象です。成年に達した子でも、経済的に扶養下にあれば対象となり得ます。未認知の婚外子、配偶者の連れ子(未養子縁組)はケースに応じた判断です。
扶養能力の目安
| 扶養者の状況 | 年収目安 |
|---|---|
| 高度専門職 | 高水準(年収800万円超想定) |
| 経営・管理 | 中〜高水準 |
| 技人国・教育・介護等の一般就労 | 配偶者1人で年収300万円以上、子1人につき+50万円程度 |
| 留学(基準1号イ・ロ) | 学費支弁書類で代替可、年額200〜400万円程度 |
明文の基準はありませんが、生活保護水準を超える生活費の確保が求められます。本国に扶養家族が別途いる場合、その人数も考慮されます。
立証は、扶養者の住民税課税証明書、納税証明書、源泉徴収票、在職証明書、預金残高証明書で行います。身元保証書も添付します。
在留期間
扶養者の在留期間に準拠するのが原則です。扶養者が5年なら家族滞在も5年、扶養者が1年なら家族滞在も1年となる傾向です。
留学(4年3月)の扶養者の場合、家族滞在も4年3月が付与されます。
資格外活動許可(週28時間)
家族滞在の在留資格は「日常的な活動」を認めるもので、収入を伴う事業や報酬を受ける活動は含まれません。そのため、配偶者・子が日本で就労するには、別途資格外活動許可を取得する必要があります。
包括許可を受けた場合、週28時間以内のアルバイトが可能です。教育機関の長期休業期間中は1日8時間まで緩和されます。
風俗営業・性風俗関連特殊営業は包括許可の対象外です。業種によっては個別許可が必要なケースもあります。
許可なく就労した場合、または週28時間を超えて就労した場合は、在留資格取消の対象となります。雇用側としても、家族滞在のアルバイトを採用する際は資格外活動許可の有無・就労時間の管理が重要です。
扶養者の資格変更・失職の影響
扶養者が退職・帰国・在留資格を変更した場合、家族滞在も影響を受けます。
- 扶養者が同じ就労系資格で転職する場合は、家族滞在は原則として維持されます。
- 扶養者が3か月以上無職の状態が続くと、扶養者自身の在留資格が取消対象となり、家族滞在も連鎖的に失効するリスクがあります。
- 扶養者が帰国する場合、家族滞在の配偶者・子も原則として帰国、または自己の在留資格への変更が必要です。
家族滞在の配偶者自身が技人国に該当する業務に従事したい場合、家族滞在から技人国への変更が可能です。離婚・死別の場合は、定住者への変更が検討されます。
子の高校卒業後の進路
家族滞在で在留中の子が日本の高校を卒業し、日本で進学・就労する場合の進路は以下のいずれかです。
- 大学・専門学校への進学 → 留学への変更
- 高卒就労 → 特定活動(告示外)または定住者への変更(一定要件あり)
- 帰国
高校3年時に早めに進路方針を固め、在留資格の変更申請を卒業前に行うのが実務上の定石です。
よくある誤解・不備
特定技能1号・技能実習の家族帯同
この2つは制度上、家族滞在での呼び寄せができません。特定技能2号への移行を果たした後に呼び寄せる設計になります。
留学生の家族滞在
大学・大学院・高等専門学校の在籍者は呼び寄せ可能ですが、日本語教育機関のみの留学生は基準省令の要件を満たしません。
資格外活動許可の超過
週28時間を超えて就労した場合の取消事由は、本人だけでなく雇用した事業者にも影響します。家族滞在の方を雇用する際は、在留カード裏面の「資格外活動許可」の記載を確認します。
扶養者の転職届出漏れ
扶養者が転職した場合、14日以内に入管への届出が必要です。この届出が漏れると、次回更新で消極材料になります。
あおば事務所の対応
社員の配偶者・子の呼び寄せ、家族滞在から技人国等への変更、資格外活動許可の取得、高校卒業後の進路に応じた資格変更まで、家族ライフサイクル全般をご相談ください。
扶養者の在留資格の状況変化(転職、退職、帰国)は、家族の在留にも影響します。早い段階でご相談いただくほど、取消リスクを回避する設計が可能です。