建設業許可・経審・入札参加 / nyusatsu
入札参加資格申請の必要書類
登記事項証明書・納税証明書・経審P点通知書など、入札参加資格申請で揃える書類を6パックに整理。機関ごとの独自要件、電子申請/郵送の方式、委任状の要否を、横浜市の行政書士が整理します。
入札参加資格申請で最も工数がかかるのが、機関ごとに異なる書類要件への対応です。ただし、書類カテゴリそのものは機関を問わずほぼ共通しているため、共通マスターを先に整備しておくと機関数が増えても工数は線形に増えません。このページは、書類の全体像と機関別の独自要件を整理したものです。
結論
- 申請書類は「法人基本」「税務」「財務」「許認可」「実績証憑」「社会性加点」の6パックに整理できます。
- 証明書類は発行後3か月以内が原則。納税証明は機関ごとに「その3の3」「その3の2」「その1」と種別が異なります。
- 神奈川県は**法人事業税(県税)**の納税証明で、税務署発行の法人税ではありません。
- 横浜市はPDFアップロード原則で郵送・持参不可、1データ4MB上限。
- 行政書士委任状は、神奈川県・川崎市・東京都都市づくり公社は必要、横浜市は不要です。
背景と制度の目的
入札参加資格審査は、申請者が契約相手として適格かを判断する手続きです。そのため、法人としての実在性・納税義務の履行・財務健全性・業務を遂行する許認可・実績を書類で裏付ける必要があります。
書類を6パックに整理する考え方は、当事務所で申請実務を体系化する中で定着したものです。機関ごとに様式や組合せは異なりますが、要求される情報そのものはほぼ共通しているため、1社あたりの共通マスターを整えれば複数機関への展開が効率化できます。
6パック整理
| パック | 主要書類 | 主な使い回し先 |
|---|---|---|
| ① 法人基本パック | 履歴事項全部証明書、代表者氏名統一表、委任情報、営業所一覧 | 全機関 |
| ② 税務パック | 消費税・地方消費税納税証明、法人税納税証明(国)、法人事業税納税証明(県税) | 全機関 |
| ③ 財務パック | 直前2期の貸借対照表・損益計算書、売上配分メモ、自己資本・流動比率計算表 | 国・神奈川・横浜(物品等)・東京(物品等) |
| ④ 許認可パック | 建設業許可、経審P点通知書、測量業登録証、建築士事務所登録証 | 神奈川・横浜・東京 |
| ⑤ 実績証憑パック | 契約書抜粋、CORINS/TECRIS、注文者・金額・期間一覧 | 神奈川・横浜・東京 |
| ⑥ 社会性加点パック | 障害者雇用状況、行動計画届出、ISO、表彰状、県・市への貢献資料 | 神奈川・横浜・東京 |
機関別の独自要件
神奈川県(かながわ電子入札共同システム)
神奈川県はシステム入力+e-kanagawa電子申請+郵送の三層構造です。
- 誓約書(システム印刷、押印不要)
- 暴力団又は暴力団員等と関係していない旨の誓約書(HPダウンロード、押印不要)
- 前年度の法人事業税納税証明書(本店分・原本)(3か月以内、県税事務所発行)
- 消費税及び地方消費税納税証明書(原本、その3・その3の3、又は直前第1年度分のその1で未納税額0円のもの)
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本(3か月以内)
- 工事申請者は総合評定値通知書の写し(申請日現在有効な最新のもの)
- 競争入札参加資格認定申請に関する代理人の委任状(行政書士提出時、HPダウンロード、押印不要)
e-kanagawa電子申請では、役員等名簿(監査役設置会社は監査役も記載)と資本関係又は人的関係情報を送信します。
郵送は「送付先別提出書類一覧表」を表紙として、簡易書留または レターパックプラスで送付します。共同受付窓口(県)と各団体窓口(市町村等)にそれぞれ別封筒で送る点に注意が必要です。
横浜市(ヨコハマ・入札のとびら)
横浜市はPDFアップロード原則で、郵送・持参は受け付けていません。
- 履歴事項証明書(全部事項証明書)の全ページ(抜粋不可、4MB超は分割して「その他(予備)」欄にアップロード)
- 代表者の身分証明書
- 登記されていないことの証明書または登記事項証明書
- 有効な経営規模等評価結果・総合評定値通知書(工事)
- 登録工種に対応する施工実績証明書類
- 納税証明書は「未納税額のないことの証明」(その3の2またはその3の3、その1は認められません)
PDFは1データ4MBまでで、書類の種類ごとに1つにまとめてアップロードします。システム利用時間は平日9〜17時のみです。
行政書士委任状は不要です。入力者情報に行政書士の連絡先を記載する運用で、差戻メール等は入力者情報宛に届きます。
横浜市内での開設初年度で納税履歴がない場合は、法人設立(開設)届出書の写しをアップロードします。
川崎市(入札情報かわさき)
川崎市はLoGoフォームでの電子申請+書類郵送のハイブリッドです。
業者区分が3種別に分かれ、必要書類が異なります。
- 市内業者:本店が川崎市内にあり、事務所実態調査誓約書を提出できる事業者
- 準市内業者:支店が川崎市内にあり、事務所実態調査誓約書を提出できる事業者
- 市外業者:上記以外
共通で必要な主要書類は以下のとおりです。
- 川崎市競争入札参加資格審査申請書(誓約書)—押印必須・カラー提出
- 暴力団排除に係る誓約書(LoGoフォーム直接入力)
- 登記事項証明書(法人のみ、3か月以内)
- 代表者印鑑証明書(3か月以内)
- 使用印鑑届・委任状(令和7・8年度用、押印必須・カラー提出)
- 納税証明書・国税(3か月以内):法人はその3の3、個人事業主はその3の2
- 納税証明書・川崎市税(市内・準市内業者のみ)
- 財務諸表(直前決算2期分)
工事業者は経審P点通知書の写し、建退共の加入証明、川崎市上下水道局指定給水装置工事事業者指定通知書(該当業種のみ)が追加で必要です。
東京都(都市づくり公社)
東京都は二層構造のため、東京都本体への資格審査完了が前提です。公社への申請は追加で行います。
- 資格審査申込書(公社独自様式、押印あり)
- 受付票(公社独自様式、押印あり)
- 委任状(公社独自様式、代理人に委任する場合、押印あり)
- 令和7・8年度 東京都 建設工事等競争入札参加資格 受付票の写し
- 令和7・8年度 競争入札参加資格審査結果通知書の写し(東京都本体で印刷)
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)写し
- 印鑑証明書(正本)1部(3か月以内)
- 納税証明書写し(直近営業年度、法人:国税 その3の3/個人:国税 その3の2)
- 建設業許可通知書(写)または証明書(写)
- 経営規模等評価結果通知書(総合評定値通知書)写(建設業の登録がある者)
- 切手貼付の返送用封筒(角2)
申請方式は**メール(Excel申請フォーム)+郵送(紙書類)**で、電子申請ではありません。公社への問合せは電子メールのみで、電話・窓口は受け付けていません。
国(全省庁統一資格)
- 登記事項証明書写し
- 財務諸表(直前1年分、平均実績高計算のため2期分の数値は必要)
- 納税証明書その3の3(消費税及び地方消費税の未納なし)
- 納税証明書その2(所得金額証明)※令和7年度申請から追加運用
- 代理人申請時は委任状
国は地方自治体より緩く、証明書類は写し提出が原則です。
委任状の種別を整理する
実務で最も混同しやすい論点です。3種類を峻別します。
| 種別 | 目的 | 主担当 |
|---|---|---|
| ① 資格審査申請代理の委任状 | 資格審査申請手続を行政書士に委任 | 行政書士 |
| ② 入札契約に関する代理人の委任状 | 支店長・営業所長等を入札・契約の代理人に指定 | 顧客の内部人事 |
| ③ 電子入札代理の委任状(電子委任状等) | GEPS等での電子入札を行政書士等が代理実行 | 行政書士(別契約) |
機関別の①の要否
- 国:必要(資格申請と電子入札は別)
- 神奈川県:必要(指定様式、押印不要)
- 横浜市:不要
- 川崎市:必要(押印必須・カラー提出)
- 東京都都市づくり公社:必要(押印あり、行政書士代行時は依頼者から行政書士への委任状を同封)
- 東京都本体:要確認(本体の公式手引きで最新要件を確認)
①の資格申請代理と③の電子入札代理は別契約にすると事故が少ない設計になります。
提出前セルフチェック
申請前に必ず確認する項目です。
- 登記事項証明書は発行3か月以内か
- 納税証明書は発行3か月以内か、税の種類は正しいか(神奈川県は法人事業税=県税)
- 未納がないか(徴収猶予中は別途証明)
- 決算書の売上高が申請画面入力値と一致するか
- 代表者氏名の漢字表記が全書類で一致するか(髙橋/高橋、齋藤/斎藤/斉藤等)
- 本店所在地の表記が登記と一致するか
- PDFサイズ上限(機関別)を超えていないか、解像度は読み取り可能か
- 委任状に認定番号・仮ID等の記載が必要な機関に入れているか
- 役員等名簿は最新か(監査役含む)
- 経審の審査基準日が機関ごとの指定期間内か
よくある誤解・不備
神奈川県で税務署発行の法人税納税証明を出してしまう
神奈川県で必要なのは**法人事業税(県税)**です。税務署発行の法人税納税証明ではありません。
横浜市で納税証明書「その1」を提出してしまう
横浜市は「その1」を認めていません。未納税額のないことの証明(その3の2またはその3の3)が必要です。
横浜市でPDFの一部ページを省略してアップロードする
履歴事項証明書は全ページが必要で、抜粋は認められません。4MB超は分割して「その他(予備)」欄にアップロードします。
東京都本体を飛ばして都市づくり公社に申請する
東京都本体の資格審査が完了していない状態では、都市づくり公社への申請はできません。都本体の受付票と審査結果通知書の写しが必要です。
あおば事務所の対応
初回相談では、お客様が対象とする機関を整理したうえで、6パックの書類を共通マスターとして洗い出します。複数機関への並行申請では、共通マスターから機関別の差分だけを抽出する設計で作業します。
証明書類の有効期限(3か月)を管理するため、取得から申請までのスケジュールを逆算して段取りします。補正対応も含めて、書類不備で差し戻しになった場合に備え、余裕を持って取得時期を設計します。
電子申請のID/パスワード管理、ICカードリーダー設定、PDF化のサイズ圧縮など、技術的なセットアップも含めて対応します。