本文へスキップ
あおば行政法務事務所

建設業許可・経審・入札参加 / nyusatsu

入札参加資格の審査項目—主観点と客観点

入札参加資格の格付は、客観点(経審P点や財務指標)と主観点(工事成績・社会性・地域貢献)の合算で決まります。機関別の算定方式と等級基準を、横浜市の行政書士が整理します。

#入札#入札参加資格#格付#等級#客観点#主観点#経審#P点#S点

入札参加資格は申請すれば取れるものですが、発注される案件の予定価格帯に参加できるかは、**格付(等級)**で決まります。格付は客観点と主観点の合算で算出され、機関ごとにロジックが異なります。このページは、建設業のお客様が自社の等級を把握し、等級アップを検討する前提として整理したものです。

結論

  • 格付は「客観点+主観点=総合点」で算出され、機関ごとの閾値で等級が決まります。
  • 客観点の源は、工事系で経審の総合評定値P点、国の物品・役務で財務諸表の付与数値です。
  • 主観点は機関独自で、神奈川県は社会性認証10項目以上、横浜市はMs=C(R-65)+α、東京都は最高完成工事経歴が中心です。
  • 等級アップは短期では効かず、定期申請の1〜2年前から逆算して準備します。

背景と制度の目的

入札参加資格の格付制度は、発注機関が案件の予定価格帯ごとに参加可能な事業者を絞り込む仕組みです。たとえば横浜市の土木工事A等級は、おおむね一定額以上の案件に参加できる一方、C等級は小規模案件が中心となります。

格付のロジックは機関によって異なりますが、共通するのは「機械的に算出される客観点」と「機関ごとの政策目的を反映する主観点」の2階建て構造です。主観点には社会的責任(障害者雇用、SDGs、地域貢献協定等)を反映する項目が組み込まれており、発注機関の政策誘導として機能しています。

機関別の格付ロジック

比較表

機関 客観点の源 主観点の性格 最終等級の決定
国(全省庁統一) 財務諸表の付与数値(5項目合計最高100点) なし(ほぼ機械的) 合計点でA〜D(買受のみA〜C)
神奈川県(工事) 経審の総合評定値P 県独自10以上の社会性認証項目 客観+主観の総合点でA〜D
横浜市(工事) 経審の総合評定値P Ms=C(R-65)+α(実績金額・工事成績・加減点) 客観+主観の総合点でA〜C
東京都(工事) 経審の総合評定値P 最高完成工事経歴(民間は50%評価) 客観等級と主観等級の低い方を採用

国(全省庁統一)の算定

国の全省庁統一資格は、工事が対象外で物品・役務のみです。財務諸表から機械的に算出される5項目の合計点(最高100点)で格付が決まります。

評価項目 最高点(物品販売・役務・買受) 最高点(物品製造)
年間平均(生産・販売)高 65 60
自己資本額の合計 15 10
流動比率 10 10
営業年数 10 5
設備の額 15

物品の製造は設備投資が加点に入るため、同じ売上規模でも物品販売・役務と配点が異なります。等級は販売・役務・製造がA〜D、物品買受のみA〜Cの3等級制です。

神奈川県の工事格付

**総合点数=客観点数(経審P点)+主観点数(県独自)**で算出されます。

主観点の加点材料

神奈川県の主観点は10以上の項目に細分化されており、個別の認証・雇用実績を積み上げる設計です。

  • 工事成績評価(CCI神奈川・神奈川県技能者等表彰等)
  • 優良工事等表彰歴(建設マスター、建設ジュニアマスター等)
  • 県への貢献度加点業者(県との防災協定、固定資産基準)
  • 建設機械の保有状況
  • 障害者の法定雇用率+1人以上雇用
  • かながわ障害者雇用優良企業認定
  • 神奈川県こども目線の施策推進条例認証
  • 女性活躍推進法(えるぼし認定/プラチナえるぼし認定)
  • 保護観察対象者等の雇用実績
  • かながわサポートケア企業認証
  • 健康経営優良法人認定
  • 神奈川県消防団協力事業所表示制度認定
  • かながわ脱炭素チャレンジャー認証

等級別基準点数(R8.4.1現在)

工種 A B C D
土木 920以上 740〜919 610〜739 609以下
建築 930以上 810〜929 640〜809 639以下
電気 850以上 700〜849 540〜699 539以下
810以上 690〜809 530〜689 529以下
舗装 920以上 700〜919 620〜699 619以下

出典は神奈川県の公示資料です。年度ごとに見直されますので、最新の公示を直接ご確認ください。

横浜市の工事格付

横浜市の主観点数Msは、特徴的な算式で算出されます。

Msの算式

Ms=C(R−65)+α

  • C:過去4年間の工種別年間平均請負実績金額を基に算出する数値
  • R:過去4年間の工種別平均工事成績
  • α:加減点の合計

αの加減点項目

加減点項目 点数
過去2年間の工種別工事成績85点以上 1件につき +10
過去2年間の工種別工事成績65点未満 1件につき −10
建設業労働災害防止協会加入 +5
障害者雇用状況 +5
男女共同参画に関する一般事業主行動計画策定・届出 +5
贈賄・独禁法違反等による指名停止 1か月につき −5(−120上限)

横浜市特有の加算要素

令和7・8年度では、**建設キャリアアップシステム(CCUS)**の実効的活用が重視されています。加えて、横浜型地域貢献企業認定・エコアップ認証が独自の加算要素として組まれています。

工種別の格付閾値

工種 A等級 B等級 C等級
土木 1,025以上 830〜1,025未満 830未満
舗装 945以上 790〜945未満 790未満
建築 1,000以上 770〜1,000未満 770未満
造園 890以上 890未満
電気 900以上 900未満

東京都の工事格付

東京都は他機関と一線を画す独自ロジックです。

決定ロジック

  • 客観等級と主観等級を別々に算出
  • 両者が一致すればその等級、相違した場合は低い方の等級を採用
  • 主観的審査事項における最高完成工事経歴がない業種は無格付

公共工事100%/民間工事50%ルール

主観点数の算定で用いる最高完成工事経歴は、発注元が公共なら請負金額100%、民間なら50%で評価されます。1億円の公共工事(100%=1億)と1.8億円の民間工事(50%=9,000万)では前者を申告した方が主観等級は上になるため、どの工事経歴を申告するかが戦略判断になります。

経審の要件

東京都では、経審のP点について審査基準日が申請日から1年7か月以内である必要があります。業種別に見られるため、P点の業種違いにも注意します。

等級アップの実務戦略

客観点の改善

  • 決算期の流動比率のコントロール(短期借入金から長期借入金への振替等)
  • 自己資本の充実(利益積み上げ・増資)
  • 売上高の平準化(突発的な赤字を避ける)

客観点は経審P点に直結するため、経審受審時の決算内容が鍵になります。詳細は関連ページの「経審と入札参加の連携戦略」でも扱います。

主観点の積み上げ

主観点の加算要素は短期間では取得できません。ISO取得、CCUSの実効運用、行動計画届出、障害者雇用上積み、地域貢献協定等は、1〜2年の準備期間を見込みます。

定期申請の時期から逆算して、1〜2年前から伴走するのが実務の定石です。

よくある誤解・不備

経審P点だけで等級が決まると思い込む

神奈川県・横浜市・東京都は主観点の配分が大きく、P点だけでは狙う等級に届かないケースが少なくありません。主観点の加算項目を個別に確認する必要があります。

東京都で客観・主観の片方だけに注力してしまう

東京都は客観等級と主観等級の低い方が採用されます。両方を並行して上げないと等級アップにつながりません。

横浜市のMs算式でRが65未満になる

Rは工事成績の平均です。65未満では「C(R−65)」がマイナスになり主観点が下がる設計です。工事成績の蓄積は等級維持の前提条件です。

定期申請の直前に慌てて認証取得を始める

障害者雇用、ISO、行動計画届出などは取得まで数か月〜1年かかります。定期申請の直前では間に合いません。

あおば事務所の対応

初回相談では、お客様の現在の経審P点と、申請予定機関の等級閾値を照らし合わせ、現状の想定等級をお伝えします。そのうえで、目指す等級に向けて必要な客観点・主観点の積み増し施策を整理し、1〜2年の準備ロードマップに落とし込みます。

主観点の加算要素は社労士・ISOコンサル等との連携が必要なものが多く、取得支援は関係専門家とチームで進めます。認証取得と申請書類への反映タイミングを合わせるのが実務上の要点です。

複数機関を並行申請する顧問顧客には、機関別の等級シミュレーションを毎年更新する形で運用しています。

関連ページ

個別のご相談は無料でお受けします

記事の内容について、お客様の事業に即した個別の判断は、初回相談(無料)で直接ご案内します。

この記事を改善する(スタッフ用)

事実誤認・誤字脱字等、お気づきの点があればこちらから報告できます