2026年4月1日施行|貨物自動車運送事業法改正—白ナンバー規制強化と荷主責任の拡大
2026年4月1日から白ナンバーでの有償運送を「利用した荷主」も処罰対象に。建設残土運搬等でダンプカーをお持ちの事業者は早急な確認を。改正の全貌と実務対応を横浜の行政書士が解説。
2026年4月1日、改正貨物自動車運送事業法が施行されます。今回の改正で大きく変わったのは、違法な白ナンバー運送(いわゆる「白トラ」)を利用した荷主側も処罰対象になるという点です。建設残土を自社ダンプで運ぶ建設会社、ダンプを持ち込みで走らせている事業者、ダンプに運搬を依頼している元請会社のいずれにとっても、影響があります。本記事では、改正の中身と、施行日までに確認すべき実務対応を整理します。
結論
- 施行日は2026年4月1日。改正貨物自動車運送事業法が発効します
- 違法な白ナンバーでの有償運送に対し、運送事業者のみならず運送を委託した荷主等も新たに処罰対象となりました
- 罰則は罰金最高300万円・懲役3年以下。法人の代表者や従業員が違反した場合、行為者本人に加え法人にも罰金が科されます(両罰規定)
- 国土交通省は2026年2月10日付事務連絡で「改正法は従前の取扱いを変更するものではない」と明示。建設業ダンプが一律に緑ナンバー化必須となったわけではありません
- 許可の要否は従来どおり「①他人需要、②有償、③事業」の3条件で判断します
- 自社工事の残土を自社従業員が運搬する形態は、引き続き許可不要となり得ます
- 判定に迷う形態(車両持込みの個人事業主に日当で走らせる等)は、施行日までに契約・雇用実態の見直しが必要です
2026年4月1日 貨物自動車運送事業法 改正のポイント
改正貨物自動車運送事業法により、以下の点が新たに強化されました。
| 改正項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 処罰対象 | 違法な白トラを行う運送側のみ | 違法な白トラに運送を委託した荷主等も対象 |
| 罰金 | 従来の水準 | 最高300万円 |
| 懲役 | 従来の水準 | 3年以下 |
| 両罰規定 | 従来通り | 行為者に加え法人にも罰金 |
| 国交大臣の権限 | — | 荷主等に対する要請・勧告・公表が可能に |
実務上の影響は、建設現場で白ナンバーダンプに「運賃相当」を支払って運ばせている場合、これまで以上に荷主側(元請会社など)のリスクが大幅に増大するという点です。「下請がやっていることは知らなかった」では済まされない建て付けになりました。
国交省事務連絡(2026年2月10日付)の位置づけ
国土交通省 物流・自動車局 貨物流通事業課長は、2026年2月10日付の事務連絡で「改正法は、違法な白トラを行う者に関する従前の取扱いを変更するものではない」と明示しました。建設現場の混乱防止のため、自家用ダンプの取扱いを「明確化」したものであり、従来の判断枠組み(「他人需要」「有償」「事業」該当性)自体を変えるものではないという整理です。
つまり、建設ダンプが全て一律に許可必須になったわけではありません。従来の枠組みで許可不要と整理できていた運搬形態は、引き続き許可不要となり得ます。
何が「白ナンバーの違法な有償運送」か
白ナンバーと緑ナンバーの違い
自動車のナンバープレートには、大きく「自家用(白ナンバー)」と「事業用(緑ナンバー)」の区別があります。他人の貨物を有償で運ぶ「運送事業」を行うには、原則として緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業の許可)が必要です。白ナンバーのまま有償運送を行うと、いわゆる「白トラ」として違法になります。
許可が必要になる3つの条件
国土交通省は、以下の3つの条件がすべてそろう場合に一般貨物自動車運送事業の許可が必要と整理しています。
- 他人の需要に応じて:他人(元請・発注者・別会社など)のために貨物を運ぶ
- 有償で:運送行為の対価(運賃・ダンプ代・運搬費など)を受け取る。名目は問わず実質で判断
- 事業として:反復継続して運送を行う。毎週・毎月のように繰り返す場合が典型
3つが揃うと、白ナンバーでの運送は違法な白トラとなり、2026年4月以降は運送側だけでなく荷主側も罰金300万円・懲役3年以下の対象になります。
ダンプゼッケン(建)と一般貨物許可は別制度
建設業で使うダンプカーには「表示番号(ゼッケン)」制度があり、土砂等を運搬する大型ダンプには「建」などの表示を届け出ます。ただし、これは表示番号の届出制度であり、一般貨物運送事業の許可要否とは直接関係しません。ゼッケン(建)が付いているから白ナンバーで有償運送してよい、という理屈は成り立ちません。
荷主(発注者)側にも及ぶ処罰
荷主責任の新設
改正の最大のポイントは、これまで運送事業者側の違反とされてきた白トラ行為について、委託した荷主等も処罰対象に加わったことです。建設業でいえば、元請会社や発注者が下請・外注先に白ナンバーでの運搬を指示したり、白ナンバーダンプを手配して運賃相当の対価を支払ったりした場合、荷主側も責任を問われます。
罰則の水準
- 罰金最高300万円
- 懲役3年以下
- 両罰規定:法人の代表者・従業員が違反行為をした場合、行為者本人に加え法人にも罰金
国交大臣による要請・勧告・公表
罰則に至る前段階として、国土交通大臣から荷主等に対して要請・勧告・公表が可能になりました。違反通告・是正指示の仕組みが整備されたため、「気づかず違法状態になっていた」というケースでも、行政からの指導が入り得ます。
建設残土運搬で特に問題となるケース
建設現場では、実務上の慣行として白ナンバーダンプが使われる場面が多く、形式上は適法でも実態が違法に寄っているケースが少なくありません。2026年4月以降に荷主リスクが顕在化しやすい典型パターンを挙げます。
パターン1:元請が他社の白ナンバーダンプに残土運搬を発注
元請会社が、他社が所有する白ナンバーダンプに運賃相当を支払って残土を運ばせる形態です。請求書の名目が「運搬費」「ダンプ代」「手間賃」「応援」のいずれであっても、実質が運送の対価であれば違法な白トラとなり、元請側も処罰対象になります。
パターン2:下請に白ナンバーでの運搬を指示
元請が下請に対して「白ナンバーで運んでほしい」と指示するケースです。下請が白トラで運搬した場合、指示した元請側も荷主責任を問われ得ます。
パターン3:再委託・再再委託で責任所在が不明確
建設業では多段階の下請構造があり、どの段階で白トラ運搬が発生しているかが見えにくい場面があります。元請・一次下請・二次下請のそれぞれの立場で、自社が荷主として関与している運搬が適法かを確認する必要があります。
パターン4:車両持込みの個人事業主に日当で運搬させる
建設現場で多い形態ですが、国交省の整理では「自ら運送」として許可不要とは認められにくい部分です。運転者が雇用関係にある自社従業員でなければ、白トラ扱いになり得ます。
対応方法(実務)
1. 自社の運搬実態を棚卸しする
以下のチェックリストで、自社の運搬形態を確認してください。
- 自社車両で自社の積荷(自社工事の残土・購入した土砂等)を運んでいる → 自社運搬・適法
- 他社の積荷を白ナンバーで有償運搬している → 要対応
- 他社にダンプを貸して運賃を受け取っている → 要対応
- 下請・外注先に白ナンバーでの運搬を依頼している → 荷主責任リスク
- 運転者が車両持込みの個人事業主・日雇いで、実態として外注になっている → 要確認
- 「工事一式」と言いながら請求書に運搬費が独立して計上されている → 要確認
2. 違法状態の解消方法
棚卸しの結果、白トラに該当する、または該当するおそれがある運搬が見つかった場合、主な解消方法は以下の3つです。
(1)緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業許可)を取得する
自社で運送事業として継続する場合は、一般貨物自動車運送事業の許可を取得します。許可取得には最低車両5台・常勤の運行管理者と整備管理者・営業所と車庫・所要資金(目安1,500万〜3,000万円)等の要件を満たす必要があります。詳細は一般貨物自動車運送事業の許可要件をご確認ください。
(2)事業協同組合への加入
単独で許可要件を満たすのが難しい場合、事業協同組合に加入することで営業所・車庫等の要件を緩和できる制度があります。詳細は事業協同組合を活用した許可取得をご確認ください。
(3)運搬契約の見直し(適法な緑ナンバー業者への委託)
自社で運送事業を行わず、既に緑ナンバーを持つ運送事業者に運搬を委託する方法です。契約形態・請求書の内訳を見直し、荷主責任が生じる形態を解消します。
3. 施行日までのスケジュール
一般貨物自動車運送事業の許可取得には、標準処理期間だけでも3〜5か月、事前準備を含めると8〜12か月程度が目安です。2026年4月1日の施行までに許可を取得するのは、これから準備を始める場合には間に合いません。
施行日までに間に合わない場合の対処としては、以下を検討します。
- 当面は緑ナンバー業者への運搬委託に切り替え、並行して自社の許可取得準備を進める
- 事業協同組合への加入を検討し、要件充足までの時間を短縮する
- 運転者の雇用形態を見直し、「自社従業員による自社工事残土の運搬」として許可不要の整理に寄せる
個別事情によって最適解は異なります。判断に迷う場合は、施行日を待たずにご相談ください。
罰則の詳細
改正貨物自動車運送事業法では、違法な白トラに関与した荷主等に対して、以下の罰則が定められています。
- 罰金:最高300万円
- 懲役:3年以下
- 両罰規定:法人の代表者または従業員が違反した場合、行為者本人に加えて法人にも罰金
- 行政処分の前段階として、国土交通大臣による要請・勧告・公表
適用範囲は「違法な白トラに運送を委託した荷主等」であり、元請会社・発注者・土砂販売業者など、運送を依頼する側の立場にある者が広く含まれ得ます。
個別の事案が違法に該当するかは、契約書・請求書の内訳・運転者の雇用実態等を精査したうえで判断する必要があります。本ページは概要であり、具体的な適法性判断は個別にご相談ください。
あおば事務所のご支援
行政書士あおば行政法務事務所では、建設業者・運送事業者の皆様に対し、以下のご支援を行っています。
- 運搬実態の棚卸し相談:現在の運搬形態が許可必要か否かの判定(初回無料相談で対応)
- 緑ナンバー取得のための要件チェック:営業所・車庫・人員・資金等の要件充足可否の確認
- 事業協同組合加入のご支援:単独で要件を満たしにくい場合の選択肢提示
- 運搬契約の見直しご相談:元請・下請間の契約・請求書内訳の整理
- 継続的コンプライアンス支援:許可取得後の巡回指導・監査対応、事業報告書・事業実績報告書の作成
個別事案の適法性判断は、契約内容・雇用実態・請求形態等を精査して行います。ご相談の際は、工事請負契約書・運搬委託契約書・直近の請求書内訳・運転者の雇用契約書等をご用意いただけると判定が速く進みます。
関連ページ
出典
- 貨物自動車運送事業法(令和7年改正)
- 国土交通省 改正法概要資料(2025年公表)
- 国土交通省 物流・自動車局 貨物流通事業課長 事務連絡(2026年2月10日付)
- 公益社団法人全日本トラック協会 周知資料
※このページは改正法の概要をお伝えするものであり、個別の事案について適法性を保証するものではありません。具体的なご相談は、お問い合わせフォームまたはお電話(045-979-0120)にてお申し付けください。
※2026年4月時点の情報を掲載しています。法令・制度は改正されます。最新情報は個別にご確認ください。
行政書士あおば行政法務事務所 齋藤光宏