本文へスキップ
あおば行政法務事務所

医療法人・医療機関 / iryo-shitei

施設基準届出—在支診・在宅系加算・外来機能報告等

施設基準届出の仕組みと実務のポイントを整理します。毎月第1木曜までの締切ルール、算定希望月の前月20日頃を目安とする逆算、在宅療養支援診療所や地域包括診療料の要件、診療報酬改定(2年ごと)への対応、行政書士が関わる連携協定書・院内規程の範囲まで解説します。

#施設基準#届出#在宅療養支援診療所#在支診#地域包括診療料#ベースアップ評価料#診療報酬改定#社労士連携

施設基準届出の締切を1日でも過ぎると、算定開始が1か月遅れます。規模によっては、1か月分の加算が数百万円単位で失われます。このページでは、施設基準の届出の仕組みと、実務で押さえるべき期限管理、主要な施設基準の概要を整理します。

結論

  • 施設基準は、特定の診療報酬(加算・特掲診療料等)を算定するために具備すべき要件です。厚生局への届出が受理されて初めて算定できます。
  • 届出の締切は原則として毎月第1木曜日(祝日等で変動あり)。締切日までに受理されれば、その月の1日に遡って算定可能です。
  • 当事務所では、算定希望月の前月20日頃までの到達を実務上の安全圏として運用しています。補正対応の余地を確保するためです。
  • 施設基準届出は社会保険労務士の領域に抵触する恐れがあるため、当事務所は連携協定書・院内規程の作成という間接的関与に留めます。
  • 診療報酬改定(原則2年ごと)で要件が変わるため、ベースアップ評価料など新設項目を含め、改定直後の棚卸しが重要です。

施設基準とは

特定の診療報酬を算定するために、医療機関が具備すべき要件です。大別すると以下の4要件に整理できます。

  • 人員配置要件: 専門医・看護師の配置、常勤換算の人数
  • 構造設備要件: 専用室・特定機器の保有
  • 診療実績要件: 年間手術件数、看取り実績、在宅患者数
  • 運営体制要件: 医療安全管理体制、24時間対応体制、BCP(事業継続計画)

要件を満たしたうえで地方厚生局に届出を行い、受理されて初めて算定可能になります。要件を満たさない状態での算定は不当請求として扱われ、後日の適時調査で返還請求の対象になります。

届出の手続き

書類の構成

  • 鑑表: 「基本診療料の施設基準等に係る届出書」または「特掲診療料の施設基準等に係る届出書」
  • 別添書類: 各点数項目に応じた個別様式(有資格者の勤務表、診療実績報告書、面積計算書、機器カタログ等)

様式は地方厚生局の公式ウェブサイトからダウンロードできます。改定年は様式自体が更新されるため、前回改定時の様式を使い回さないよう注意が必要です。

算定開始の厳格なルール

ルール 内容
締切日 原則毎月第1木曜日まで(祝日等で変動あり)
算定開始 締切日までに受理 → その月の1日に遡って算定可能
遅延の場合 1日でも過ぎれば翌月からの算定開始

実務上の逆算—「2週間前」の安全圏

当事務所では、算定希望月の前月20日頃までに届出を厚生局に到達させることを目安にしています。月初の第1木曜日が締切となる運用下で、補正・差戻しの時間を確保するためです。

ベースアップ評価料など新規届出では、賃金改善計画の根拠資料や就業規則との整合が問われる場面があります。直前投入は補正対応の余地がなく、結果として1か月遅延に直結するリスクがあります。

主要な施設基準の概要

在宅療養支援診療所(在支診)

地域包括ケアシステムの中核。通院困難な患者への在宅医療を推進する指定です。

要件 内容
24時間連絡体制 患者・家族からの連絡を常時受ける保険医or看護職員を指定。連絡先を文書で患家に提供
24時間往診体制 往診担当医の氏名・担当日を文書で提供
24時間訪問看護体制 訪問看護の提供体制(自院or連携先)
看取り・緊急往診実績 機能強化型の場合、過去1年間の実績が一定基準以上
BCP(事業継続計画) 大災害・感染症発生時の在宅医療継続計画の策定が義務化(2024年度改定〜)

単独型・連携型・機能強化型の区分があり、どれを目指すかで必要書類が大きく変わります。連携型は複数診療所が当番制で対応するスキームで、連携協定書の整備が前提になります。

地域包括診療料・地域包括診療加算

高血圧・糖尿病・脂質異常症・認知症のうち2つ以上の疾患を有する患者への継続的医療を評価する加算です。

区分 主な要件の違い
地域包括診療加算1 在宅医療の実績が必須
地域包括診療加算2 在宅医療の実績は不要
認知症地域包括診療加算1 認知症対応力 + 在宅医療実績
認知症地域包括診療加算2 認知症対応力のみ

点数・要件は診療報酬改定で変動するため、最新の告示を必ず確認します。本ページに具体点数を記載しない理由もここにあります。

ベースアップ評価料

医療従事者の賃金改善を目的に新設された加算です。Ⅰ・Ⅱの区分があり、対象職員の範囲・賃金改善方法・計画書サイクルで判断が分かれます。届出時には賃金改善計画書の提出と、就業規則・給与規程との整合が求められます。

役員報酬と使用人給与の内訳、40歳未満勤務医の扱いなど、個別論点が多い届出です。当事務所では、社労士・税理士と連携して論点を整理してからお出しします。

オンライン資格確認・医療DX

  • 「オンライン資格確認を行う体制を有すること」が、多くの施設基準の基本ベースになっています
  • マイナ保険証等を通じた受診歴・薬剤情報・特定健診情報の取得・活用が要件
  • オンライン診療の初診では向精神薬の処方不可

院内・ウェブサイトでの掲示義務

令和6年度改定により、物理的な院内掲示に加えてウェブサイト等での情報公開が原則義務化されました。

掲示事項 内容
オンライン資格確認体制 体制の有無と患者情報の活用方針
情報通信機器を用いた診療の方針 オンライン診療に関する説明
介護保険施設等との連携体制 連携先の施設名称
就労と療養の両立支援 情報提供・指導の可否(推奨)

ウェブ掲示の不備は適時調査で指摘されます。院内掲示と同じ文言をそのままHPに載せるだけでは不十分な場合があるため、掲示事項の棚卸しを定期的に行います。

定期報告義務と返還リスク

年次定例報告(毎年7月)

施設基準ごとの直近1年間の診療実績・人員配置状況を報告します。要件を下回っていることが判明した場合は、速やかに当該基準の辞退届を提出します。

要件割れのまま算定を続けるリスク

要件を満たさない状態で算定を継続すると、適時調査で発覚した時点から、基準を下回った時点まで遡って数年分の不当請求として全額返還の対象になります。日常的なデータ抽出とコンプライアンス担保が不可欠です。

診療報酬改定(2年ごと)への対応

経過措置期間の落とし穴

  • 改定で要件が厳格化 → 通常は半年間の経過措置(旧基準で算定可)
  • 経過措置終了までに新基準を満たして再届出が必要
  • 実態として新要件を満たしていても、再届出の手続き自体を失念すると自動的に無効化
  • 無効化状態で旧点数を算定し続けると、後年の適時調査で数年分の返還金が発生

改定対応の進め方

1. 改定の告示・通知が発出
    ↓
2. 顧問先医療機関の現行算定項目と新要件をマトリックスで照合
    ↓
3. 再届出が必要な項目のリスト抽出
    ↓
4. 期限内に要件充足 + 再届出完了

改定対応は2年ごとの大きなプロジェクトです。社労士・税理士と連携し、改定直後から顧問先への対応を開始します。

行政書士が作成する関連書類

施設基準届出自体は社労士業務ですが、その前提となる以下の書類は、行政書士が「事実証明に関する書類」として作成できます。

  • 連携先医療機関との協定書(在宅医療の連携体制等)
  • 介護保険施設との連携協定書
  • 院内の医療安全管理に関する規程
  • 感染対策に関する規程
  • 各種運用マニュアル

当事務所では、在支診届出に必要な連携協定書のひな型、24時間対応の院内規程、BCPのテンプレートを整備し、社労士の届出実務に提供しています。

あおば事務所の関わり方

先生方の窓口は当事務所で一本化し、社労士との書類連携・期限管理を当事務所が担います。具体的には以下の分担です。

  • 行政書士(当事務所): 連携協定書・院内規程の作成、スケジュール管理、保健所・厚生局間の書類整合確認、公費指定の一括申請
  • 社会保険労務士(連携先): 施設基準届出書の作成・提出、賃金計画の検証、労務管理アドバイス
  • 税理士(連携先): 賃金改善計画の収支影響、ベースアップ評価料の運用シミュレーション

論点が多い届出ほど、事前準備の質が算定開始の遅延リスクを左右します。初回相談で論点マップをお出しし、打ち合わせ段階で判断が分かれる項目を棚卸しします。

よくあるご質問

Q. ベースアップ評価料Ⅰ・Ⅱの選択はどう判断しますか。

A. 対象職員の範囲・賃金改善の原資・就業規則との整合・計画書サイクルの4点で判断します。役員報酬と使用人給与の内訳、40歳未満勤務医の扱いなど、個別事情による差が大きいため、初回相談時の試算が前提になります。

Q. 施設基準の要件を割り込みそうです。どう対応すべきですか。

A. 判明時点で辞退届を提出し、以降の算定を停止するのが原則です。算定を続けたまま放置すると、適時調査で遡及返還のリスクが生じます。復帰可能な時点で再届出します。

Q. 院内掲示はしていますが、HPへの掲載が間に合っていません。

A. 令和6年度改定で原則義務化されたため、速やかに対応してください。掲示事項はそのままHPに転記できるものもあれば、表現を見直すべきものもあります。当事務所では掲示事項の棚卸しチェックリストをお渡ししています。

関連ページ

個別のご相談は無料でお受けします

記事の内容について、お客様の事業に即した個別の判断は、初回相談(無料)で直接ご案内します。

この記事を改善する(スタッフ用)

事実誤認・誤字脱字等、お気づきの点があればこちらから報告できます