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あおば行政法務事務所

一般貨物自動車運送事業 / management

運行管理者・整備管理者の選任要件—資格取得・兼務・点呼設計の実務

一般貨物自動車運送事業における運行管理者・整備管理者の選任要件、資格取得の2ルート、兼務制限、選任届、対面点呼の設計を、横浜の行政書士が実務目線で整理します。

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一般貨物自動車運送事業の許可では、運行管理者(人と運行の安全を担う)と 整備管理者(車両の整備状態を担う)の選任が必須です。許可審査で最も補正指示の入りやすい領域の一つで、特に点呼の運用設計は、審査だけでなく運輸開始後の巡回指導・監査でも繰り返し問われるポイントです。

結論

  • 運行管理者は 常勤1名以上、運転者との兼務不可。資格は試験合格か実務経験ルートの2択。
  • 整備管理者は 営業所ごとに常勤1名以上、運転者との兼務可。外部委託は原則禁止。
  • 点呼は対面が原則。車庫と営業所が離れていることは「やむを得ない場合」に該当しません。
  • 選任前研修は地方運輸局の開催回数が限られるため、早めの予約 が必要です。
  • 選任届は許可取得後、運輸開始前に提出します。

運行管理者

役割

運行管理者は、運転者の乗務に先立つ点呼、運行指示書の作成、指導監督、運転者台帳の整備など、人と運行の安全を担う中核の人員です。選任された運行管理者は、運送事業者の命に従って業務を行いつつ、安全確保のために事業者へ意見を述べる立場にも置かれます。

必要人数

営業所の車両数 選任人数
1〜29台 1名以上
30〜59台 2名以上
60〜89台 3名以上
90〜119台 4名以上
以降30台ごとに1名追加

最低5台で始める場合でも、29台までは1名の選任で足ります。

資格取得の2ルート

ルート1:運行管理者試験に合格

項目 内容
受験資格 1年以上の実務経験 または 基礎講習修了
実施時期 年2回(3月・8月頃)
合格率 約30〜40%
受験料 数千円

試験対策として、市販の問題集での学習と、基礎講習の受講が組み合わされることが多いです。基礎講習は運輸支局やトラック協会が開催する3日間程度の講習で、受験資格を得るルートとしても使われます。

ルート2:実務経験+所定講習

項目 内容
実務経験 事業用自動車の運行管理に関し5年以上
講習 所定の講習を5回以上修了

長年運行管理に携わってきた方が、試験を経ずに資格者となる道です。経験年数と講習受講歴を、在籍証明や受講修了証で立証します。

兼務制限

運転者との兼務は不可 です。車両5台・運転者5名の最小構成で始める場合でも、運行管理者は別に1名必要となり、最低人員は6名になります。

整備管理者との兼務は認められます。運行管理者と整備管理者の両方の資格を持つ1名を配置することで、人員を圧縮できる場合があります。

選任届

許可取得後、運輸開始前に「運行管理者選任届」を管轄運輸支局に提出します。選任届には、運行管理者資格者証の写し、勤務実態を示す書類(勤怠表・雇用契約書等)を添付します。

点呼の設計

運行管理者の最重要業務が 対面点呼 です。

項目 内容
原則 対面で実施(乗務前・乗務後)
確認事項 アルコールチェック、疾病・疲労、睡眠不足、道路状況、運行の指示
記録 点呼記録簿に記入し、1年間保存
非対面の例外 「やむを得ない場合」に限り電話点呼が可能(やむを得ない場合の範囲は厳格)

車庫と営業所が離れているという事情は、「やむを得ない場合」には該当しません。営業所と車庫を同一敷地、または徒歩圏の近接地に配置することが、対面点呼運用の前提となります。

点呼を非対面前提で設計すると、許可審査の補正指示だけでなく、運輸開始後1〜3か月の巡回指導で重大な指摘を受けます。巡回指導で低評価を受けると、増車等の申請が通らなくなるなど、事業運営に直接の影響が及びます。

整備管理者

役割

整備管理者は、車両の日常点検・定期点検の実施、整備計画の策定、整備従業員の指導監督を担います。運転者が日常点検を行う運用であっても、最終的な整備管理責任は整備管理者に帰属します。

必要人数

営業所ごとに 常勤1名以上。複数営業所を構える場合、各営業所に選任します。

資格取得の2ルート

ルート1:自動車整備士資格

自動車整備士の 3級以上 の国家資格保有者が、そのまま整備管理者として選任されます。1級・2級・3級いずれでも要件を満たします。

ルート2:実務経験+選任前研修

項目 内容
実務経験 同種自動車の点検整備に関し2年以上
講習 選任前研修を修了

実務経験ルートは、地方運輸局が実施する選任前研修の受講が必須です。神奈川県内事業者の場合、関東運輸局または神奈川運輸支局が開催する研修を受けます。

選任前研修の注意点

  • 開催回数が年数回に限られる
  • 申込は先着順で、満席になる回も多い
  • 新規許可のスケジュールを立てる時点で、研修日程を確認・予約することが重要

許可取得までに選任前研修を修了できないと、整備管理者の選任届が出せず、運輸開始が遅れます。要件診断の段階で、研修受講の予定を立てておく必要があります。

兼務の扱い

  • 運転者との兼務:可能
  • 運行管理者との兼務:可能(両方の資格要件を満たす場合)
  • 外部委託:原則禁止

車両5台・運転者5名で始める場合、運転者のうち1名が整備士3級以上の資格を持つか、実務経験2年+選任前研修を満たせば、整備管理者を兼務でき、人員の追加が不要です。実務でよく選ばれる設計です。

選任届

許可取得後、運輸開始前に「整備管理者選任届」を管轄運輸支局に提出します。資格者証の写しまたは実務経験証明+研修修了証を添付します。

日常業務

整備管理者が継続的に担う業務は以下のとおりです。

  • 日常点検:運行前の点検の実施・記録
  • 定期点検:3か月ごとの車両点検・記録簿保存
  • 整備計画:年間整備計画の策定と実施
  • 点検記録:整備記録簿の整備(車両ごと)
  • 指導監督:運転者への点検方法の指導

記録の保存義務は、種類により1年・3年と分かれます。運輸開始時点で、記録フォーマットと保存ルールを確立しておくことが、巡回指導での適正評価につながります。

最低人員体制の具体例

車両5台で始める場合の最小構成を、兼務パターンで整理します。

パターンA:整備管理者を運転者が兼務(最小)

役職 人数
運転者(うち1名が整備管理者兼務) 5名
運行管理者(兼務不可) 1名
合計 6名

運転者5名のうち1名が整備士3級以上、または実務経験2年+選任前研修を満たす必要があります。

パターンB:運行管理者と整備管理者を同一人物が兼務

役職 人数
運転者 5名
運行管理者兼整備管理者(兼務可) 1名
合計 6名

1名が運行管理者と整備管理者の両方の資格を持つ場合です。点呼と整備の責任が集中するため、事業規模が拡大したら分離するのが実務的です。

パターンC:別人で分ける(余裕構成)

役職 人数
運転者 5名
運行管理者 1名
整備管理者 1名
合計 7名

人員に余裕があり、点呼・整備それぞれに専任を置くケース。巡回指導での評価は高めになります。

補助資格者(運行管理補助者)

運行管理者のほかに、運行管理補助者を選任できます。運行管理者が不在のときに、補助的に点呼を担う役割です。

項目 内容
資格要件 基礎講習修了 または 運行管理者試験合格
役割 運行管理者不在時の点呼補助(運行管理者の業務を代行することはできない)
必須 制度上は任意選任だが、24時間運行する事業所では実質的に必須

24時間運行や夜間点呼が発生する場合、運行管理者1名では対応しきれないため、補助者の選任を前提に設計します。

資格取得と選任のスケジュール設計

資格者がまだ決まっていない状態から始める場合、以下のように逆算します。

  1. 資格取得ルートの選択(試験合格 or 実務経験+講習)
  2. 試験日程の確認:運行管理者試験は3月・8月頃
  3. 選任前研修の申込(整備管理者・実務経験ルートの場合):早期予約
  4. 資格取得後、申請書類を作成
  5. 許可取得後、選任届を提出
  6. 運輸開始前に点呼体制を確立

資格者の確保が許可取得スケジュール全体の律速になることが多い領域です。ヒアリングの最初期に、候補者の経歴と資格状況を確認することが、全体スケジュールを組む前提になります。

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※本記事は選任要件の概要を整理するものです。資格の有無や実務経験の立証可否は、資格者証・在職証明・研修受講歴などを拝見して確認する必要があります。具体的なご相談は個別にお申し付けください。

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