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倉庫業の登録—営業倉庫を始めるための要件と申請の実務
横浜・青葉の行政書士あおば行政法務事務所が、倉庫業法に基づく営業倉庫の登録(倉庫の種類・施設設備基準・倉庫管理主任者の選任・申請の流れ)について、制度の全体像と実務のポイントを整理して支援します。
他人の物品を預かって保管し、その対価(保管料)を受け取る「営業倉庫」を営むには、倉庫業法に基づく登録が必要です。自社の荷物を自社の倉庫にしまうだけなら登録は要りませんが、第三者の物品を業として預かるなら、施設が基準を満たし、適切な管理体制が整っていることを国に認めてもらう手続が前提になります。このページでは、倉庫業の登録制度の全体像と、申請の実務のポイントを整理します。
こんな方へ
- これから営業倉庫業を始めたい、または既存倉庫を第三者の保管に活用したい方
- 物流子会社・3PL事業の立ち上げで、預かり保管の対価を受け取る形態を検討している方
- トランクルーム(個人の家財などを預かる収納サービス)を事業として始めたい方
- 自社で建てた倉庫の空きスペースを他社に貸して保管料を取りたい方
- 倉庫の種類や施設設備基準、倉庫管理主任者の要件が複雑で、何から手を付ければよいか分からない方
「倉庫を借りて荷物を置くだけ」と「他人の物品を業として保管する」は、制度上まったく別の話です。後者に当たる可能性があるなら、早い段階で要否を確認しておくことをお勧めします。
倉庫業とは(制度の概要)
倉庫業は、倉庫業法を根拠とする登録制の事業です。「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」と定義され、他人の物品を預かって保管し、その対価を得る行為が対象になります。倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。実際の申請窓口は、倉庫の所在地を管轄する**地方運輸局(運輸支局を経由する場合あり)**です。
倉庫業法は、平成14年の改正で従来の「許可制」から「登録制」へと移行しています。登録制とはいえ、施設設備が基準に適合していること、倉庫管理主任者を確実に選任できることなどが審査され、これらを満たさない場合は登録が拒否されます。つまり「届け出れば誰でも始められる」ものではなく、実質的な要件審査がある制度です。
- 根拠法:倉庫業法(昭和31年法律第121号)、同法施行規則
- 所管:国土交通省(申請窓口は各地方運輸局)
- 制度区分:登録制(登録拒否要件あり)
登録が不要・対象外となる場合
すべての「物を置く施設」が倉庫業に当たるわけではありません。一般に、次のようなものは営業倉庫業の対象外と整理されています。
- 自社の物品を自社で保管するだけの自家用倉庫
- 銀行の貸金庫、駐車場・駐輪場、コインロッカーなど、保管を主目的としない施設
ただし、どこからが「業としての保管」に当たるかは判断が分かれる場面があります。事業形態が対象に当たるかどうかは、計画段階で管轄運輸局に確認しておくのが安全です。
倉庫の種類
倉庫業の登録は、保管する物品の性質に応じて倉庫を種類分けし、その種類ごとに定められた施設設備基準への適合を審査します。主な種類は次のとおりです。
| 種類 | 主に保管する物品のイメージ |
|---|---|
| 一類倉庫 | 幅広い物品(最も基準が高く、汎用性が高い) |
| 二類倉庫 | 燃えにくい物品など(一類より基準が一部緩和) |
| 三類倉庫 | 燃えにくく湿気・温度変化の影響を受けにくい物品 |
| 野積倉庫 | 鉱物・木材・自動車など、屋外保管に適した物品 |
| 貯蔵槽倉庫 | ばら状の穀物・液体など(サイロ・タンク) |
| 危険品倉庫 | 消防法・高圧ガス保安法等の危険物・高圧ガス |
| 冷蔵倉庫 | 10度以下で保管する飲食料品など |
| 水面倉庫 | 原木などを水面で保管 |
| トランクルーム | 個人の家財・美術品・書類など消費者の物品 |
一類倉庫が最も施設設備基準が高く、保管できる物品の範囲も広いとされています。逆に、特定の物品に特化した倉庫(危険品・冷蔵など)は、その物品に対応した個別の基準が課されます。どの種類で登録するかは、扱う荷物と倉庫の構造から決まります。
なお、各種類の細目や保管物品の区分の詳細は施行規則等で定められており、運用上の解釈もあります。実際の種類判定は、管轄運輸局の手引きと事前相談で確認することが前提になります。
主な要件
登録の審査は、大きく「施設設備基準(物的要件)」と「倉庫管理主任者の選任(人的要件)」、そして「登録拒否要件に該当しないこと(欠格要件)」の3つで構成されます。
施設設備基準(物的要件)
倉庫の種類ごとに、施設設備が一定の基準に適合している必要があります。一類倉庫を例にすると、次のような観点が審査の対象とされています。
- 関係法令(建築基準法・都市計画法の用途地域など)への適合
- 外壁・床の強度、防水・防湿性能
- 耐火・防火性能、災害(地震・水害等)の防止措置
- 消火設備、防犯(防火区画・施錠・警報装置等)の措置
具体的な数値基準(床の強度、耐火構造の仕様など)は倉庫の種類によって異なり、図面や構造計算で適合を立証します。建築確認や用途地域の確認も関わるため、不動産の取得・賃借の前に、その建物・土地で登録が取れる見込みがあるかを確かめておくことが重要です。
倉庫管理主任者の選任(人的要件)
倉庫業者は、倉庫の管理業務を適正に行わせるため、倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任する義務があります(倉庫業法第11条)。ただし、同一の敷地内にある倉庫など機能上一体とみなされる複数の倉庫や、同一の営業所等が直接管理・監督している複数の倉庫(同一都道府県内に限る)で、それらの有効面積の合計が一定基準以下の場合は、同一の者を倉庫管理主任者とすることができます(倉庫業法施行規則第8条)。
倉庫管理主任者になるには、次のいずれかに該当することが求められます(倉庫業法施行規則第9条)。
- 倉庫の管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 倉庫の管理の業務に関して3年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣が定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
- 上記と同等以上の知識・能力を有すると国土交通大臣が認める者
実務経験で要件を満たせない場合は、講習の修了で要件を満たす方法が一般的です。講習は定員制で、時期によっては予約が埋まることがあるため、申請スケジュールから逆算した早めの受講申込みが安全です。なお、上記の実務経験は「営業倉庫」での経験が対象とされ、自家用倉庫の経験は算入できないとされています。
兼任が認められる「有効面積の合計の基準」(国土交通大臣が定める値)や、講習の主催・実施回数などの細目は、最新の施行規則・告示・国土交通省の案内でご確認ください。
登録拒否要件(欠格要件)
倉庫業法は、登録を受けられない場合(登録拒否要件)を定めています。施設設備基準への不適合、倉庫管理主任者を確実に選任すると認められないことのほか、法令違反による登録取消しからの一定期間の経過、欠格事由に該当する役員がいることなどが審査されます。
申請の流れ・必要書類
倉庫業の登録は、施設が完成(または取得・賃借契約の見込みが立つ段階)してから、図面・契約関係・体制を整えて申請する流れになります。標準的なステップは次のとおりです。
- 事業計画の整理(倉庫の種類・取扱物品・所在地の決定)
- 管轄運輸局への事前相談(種類判定・施設基準の適合見込みの確認)
- 倉庫管理主任者の選任(必要に応じて講習の受講申込み)
- 施設設備基準への適合確認(図面・構造の整理)
- 登録申請書一式の提出
- 審査(書類審査・必要に応じて現地確認)
- 登録・登録免許税の納付
必要書類は倉庫の種類や事案により異なりますが、一般に次のようなものが求められます。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 申請本体 | 倉庫業登録申請書、倉庫明細書 |
| 図面 | 平面図・立面図・断面図、付近見取図、配置図 |
| 施設の適合 | 施設設備基準に関する確認書類(構造・性能を示す資料) |
| 権原 | 登記事項証明書、賃貸借契約書(賃借の場合) |
| 体制 | 倉庫管理主任者の選任を示す書類、経歴・資格・講習修了を示す資料 |
| 法人関係 | 定款、登記事項証明書、役員に関する書類 など |
審査には一定の期間を要します。申請から登録までの標準処理期間は国土交通省が公表しており、倉庫業の営業の登録(倉庫業法第3条)については、地方運輸局長権限の場合で約2か月、国土交通大臣権限の場合で約3か月とされています(多くの案件は地方運輸局長権限です)。これはあくまで標準であり、書類の不備や追加確認があれば前後します。また、登録後には登録免許税9万円(新規登録の場合)の納付が必要です。
なお、運輸局・自治体や倉庫の種類によって、事前相談や現地確認の運用、求められる添付書類に差があります。管轄窓口の最新の手引きで確認することが前提となります。当事務所は横浜・神奈川を中心としつつ、関東一円の案件に対応しています。
関連する手続・他士業との連携
倉庫業の登録は、隣接する手続や他の専門家の領域と関わる場面が少なくありません。行政書士の業務範囲を踏まえ、必要に応じて専門家と連携して進めます。
- 倉庫の新築・用途変更に伴う建築確認・用途地域の確認(建築士・土地家屋調査士との連携)
- 会社設立・役員変更などの商業登記(司法書士の領域。必要に応じてご紹介します)
- 危険品倉庫に関わる消防法・高圧ガス等の許認可(個別法令ごとの確認)
- 優良トランクルームの認定(倉庫業法第25条に基づく国土交通大臣の認定制度。一定の基準を満たすトランクルームを「認定トランクルーム」として表示できる制度です。登録とは別の任意の制度として整理されています)
労務・社会保険は社労士、税務は税理士、紛争・訴訟は弁護士の領域です。これらに及ぶ場合は、適切な専門家と連携してご案内します。
当事務所の支援
倉庫業の登録は、「倉庫の種類をどう設計するか」「その建物で施設設備基準を満たせるか」「倉庫管理主任者をどう確保するか」という三つの見極めが入口になります。当事務所では、まず初回相談で事業構想と対象物件を伺い、そもそも登録が必要な形態か、どの種類で登録するのが事業に合うかという見立てからご一緒します。
そのうえで、管轄運輸局への事前相談の段取り、施設設備基準の適合に必要な図面・資料の洗い出し、倉庫管理主任者の選任(講習受講が必要な場合のスケジュール調整を含む)、申請書類一式の作成と提出、審査対応までを支援します。建築・登記・消防など他の専門家の関与が必要な場面は、相互の制度差を整理したうえで連携してご提案します。
許認可は審査制であり、結果を保証するものではありません。当事務所は、要件適合の見込みを早い段階で見極め、無理のない計画と確実な準備で登録までの道筋を整えることに重点を置いています。
料金の目安
倉庫業の登録は、倉庫の種類・規模・物件の状況・必要書類の範囲によって作業量が大きく変わります。このため一律の定額はお示しせず、内容を伺ったうえで個別にお見積りいたします。複数倉庫の同時登録や、事前相談から本申請までの段階的な関与など、案件の性質に応じた進め方をご提案します。
営業倉庫の開業や、自社倉庫の第三者活用をご検討の際は、物件の取得・賃借を決める前のできるだけ早い段階で、横浜・青葉の行政書士あおば行政法務事務所までご相談ください。その建物で登録が取れる見込みがあるかの見極めから、ご一緒に進めてまいります。